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2024年9月13日【CASE】

メイ・モビリティ、加州で新たな自動運転車サービスを開始

坂上 賢治

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米カリフォルニア州・コントラコスタ(郡)交通局( CCTA )と、自動運転(AD)テクノロジー企業のメイ・モビリティ( May Mobility )は9月12日(カリフォルニア州マルティネス発)、マルティネス所在の一般市民とコントラコスタ地域医療センター(郡立病院)の患者向けに自動運転車両(AV)のシェアリングサービス〝PRESTO〟を開始した。

 

なお同サービス実施の目標は、信頼性が高く便利な別の交通手段を提供することで、この地域の医療へのアクセスを改善することにある。ちなみにコントラコスタ交通局(CCTA)は、1988年にコントラコスタの選挙人によって設立された公共機関で、郡の交通販売税プログラムを管理し、郡全体の交通計画の取り組みを監督。

 

CCTAは、郡傘下のコミュニティを繋ぎ、強力な経済を促進させつつ、持続可能性を高め、安全かつ効率的に人々を目的地に運ぶ重要な交通インフラプロジェクトとプログラムの計画、資金提供、および実施を担う。併せてCCTAは、交通量を管理可能なレベルに保つためのプログラムを実施するべく、郡の指定された渋滞管理も担っている。

 

 

対してメイ・モビリティは、自律走行(AD)の実現を目指す技術企業で、自律移動サービス(MaaS)の未来を再定義する存在だ。現在は、特許取得済みのMulti-Policy Decision Making(MPDM)システムを活用。リアルタイムデータを200ミリ秒ごとに把握・検証して安全性と効率性を高めている。

 

予測不可能な状況に対しては、オンライン学習とオフライントレーニングを組み合わせて開発工程を加速化。トヨタ自動車など業界のリーディングカンパニーとの戦略的パートナーシップの支援を受け、世界14ヵ所で380,000回以上の自律運転体験を提供している。

 

そんな両者による無料の自動運転車両(AV)のシェアリングサービス〝PRESTO〟は、月曜日から金曜日まで行われ、最初は午後2時から午後6時まで郡立病院の患者に乗車を提供。患者は、(925) 995-3797に電話するか、病院の担当者と移動を手配することで、郡立病院への、または郡立病院からの乗車と指定された場所の一覧から希望する薬局への乗車を予約できる。

 

その後、午後6時から午後10時まで一般の地域住民全員へ開放される。こちらの対象枠へは、交通技術リーダーのViaが提供するMay Mobilityアプリを使用するか、(925) 995-3797に電話することで、サービスゾーン内の指定停留所のリストへの乗車を予約できる。ちなみに郡立病院の医療施設や地元の薬局への停留所に加えて、サービスゾーンには、住宅街、ショッピング街、マルティネスのダウンタウンなど、マルティネス住民と地域社会を繋ぐ停留所が含まれている。

 

このシェアリングサービス〝PRESTO〟についてCCTAのニューウェル・アーネリッチ会長は、「我々は北カリフォルニア於いて、マルティネス市の住民に無料の自動運転車両輸送サービスを提供しています。午後には地域の施設まで送迎が必要な患者を支援するために。更に夜間の時間帯には、マルティネス市内の様々な目的地まで市民を運ぶことができます。

 

そうした活動のためにメイ・モビリティは、特許取得済みのマルチポリシー意思決定 (MPDM) ADテクノロジーを搭載したトヨタ シエナAutono-MaaS車両7台を用意しました。上記のMPDMは、運転中の膨大なシナリオAI処理して安全で快適な運行を実現させます。各車両は各々5人の乗客を乗せることができ、すべての車両にはアテンダントが同乗。質問に答えたり、必要に応じて乗客の乗り降りを手伝ったりします。

 

加えて3台は車椅子でもアクセス可能な仕様で、車椅子用スロープを介して車両後部から乗り降りをサポートします。車椅子対応時には車椅子使用者1人を含む最大3人の乗客を乗せることができます」と運行の詳細を説明した。

 

これを受けてメイ・モビリティのマニック・ダール最高商務責任者は、「メイ・モビリティは公共交通機関のギャップを埋めることに注力しています。そうした意味合いを含め、マルティネスでのPRESTO共有AVパイロットの活用では、コミュニティの繋がり方や移動方法に係るプロトコルについて再定義しています。今では当社の特許取得済みMPDMテクノロジーが地域住民にどのように役立ち、広範な運用で貢献できるかを楽しみにしています」と語っている。

 

なおCCTAとメイ・モビリティは、コントラコスタ郡中央部のコミュニティで、準交通バスサービスを提供するカウンティ・コネクション(County Connection)とも提携。

 

そうした動きについてカウンティ・コネクションのビル・チャーチル ゼネラルマネージャーは、「カウンティ・コネクションは、マルティネスADSの各車両に安全管理者として働く乗員を派遣しています。この取り組みは、全ての市民に移動の自由を貢献したいと願う我々の真摯なスタンスを示すものです。つまりADSの各車両に安全管理者が、乗客からの収集するフィードバックは自動運転モビリティの未来を考える上で重要な役割を果たします。

 

というのはPRESTOから得られるデータは、連邦運輸当局によって自動運転モビリティの基準向上に利用されるからです。従って同活動は米国運輸省の助成金によっても賄われています。そんな我々の活動は、CCTAが米国内に於いて、自動運転車パイロットプログラムを導入した3番目のエリアとなっています」と述べた。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。