米カリフォルニア州・コントラコスタ(郡)交通局( CCTA )と、自動運転(AD)テクノロジー企業のメイ・モビリティ( May Mobility )は9月12日(カリフォルニア州マルティネス発)、マルティネス所在の一般市民とコントラコスタ地域医療センター(郡立病院)の患者向けに自動運転車両(AV)のシェアリングサービス〝PRESTO〟を開始した。
なお同サービス実施の目標は、信頼性が高く便利な別の交通手段を提供することで、この地域の医療へのアクセスを改善することにある。ちなみにコントラコスタ交通局(CCTA)は、1988年にコントラコスタの選挙人によって設立された公共機関で、郡の交通販売税プログラムを管理し、郡全体の交通計画の取り組みを監督。
CCTAは、郡傘下のコミュニティを繋ぎ、強力な経済を促進させつつ、持続可能性を高め、安全かつ効率的に人々を目的地に運ぶ重要な交通インフラプロジェクトとプログラムの計画、資金提供、および実施を担う。併せてCCTAは、交通量を管理可能なレベルに保つためのプログラムを実施するべく、郡の指定された渋滞管理も担っている。
対してメイ・モビリティは、自律走行(AD)の実現を目指す技術企業で、自律移動サービス(MaaS)の未来を再定義する存在だ。現在は、特許取得済みのMulti-Policy Decision Making(MPDM)システムを活用。リアルタイムデータを200ミリ秒ごとに把握・検証して安全性と効率性を高めている。
予測不可能な状況に対しては、オンライン学習とオフライントレーニングを組み合わせて開発工程を加速化。トヨタ自動車など業界のリーディングカンパニーとの戦略的パートナーシップの支援を受け、世界14ヵ所で380,000回以上の自律運転体験を提供している。
そんな両者による無料の自動運転車両(AV)のシェアリングサービス〝PRESTO〟は、月曜日から金曜日まで行われ、最初は午後2時から午後6時まで郡立病院の患者に乗車を提供。患者は、(925) 995-3797に電話するか、病院の担当者と移動を手配することで、郡立病院への、または郡立病院からの乗車と指定された場所の一覧から希望する薬局への乗車を予約できる。
その後、午後6時から午後10時まで一般の地域住民全員へ開放される。こちらの対象枠へは、交通技術リーダーのViaが提供するMay Mobilityアプリを使用するか、(925) 995-3797に電話することで、サービスゾーン内の指定停留所のリストへの乗車を予約できる。ちなみに郡立病院の医療施設や地元の薬局への停留所に加えて、サービスゾーンには、住宅街、ショッピング街、マルティネスのダウンタウンなど、マルティネス住民と地域社会を繋ぐ停留所が含まれている。
このシェアリングサービス〝PRESTO〟についてCCTAのニューウェル・アーネリッチ会長は、「我々は北カリフォルニア於いて、マルティネス市の住民に無料の自動運転車両輸送サービスを提供しています。午後には地域の施設まで送迎が必要な患者を支援するために。更に夜間の時間帯には、マルティネス市内の様々な目的地まで市民を運ぶことができます。
そうした活動のためにメイ・モビリティは、特許取得済みのマルチポリシー意思決定 (MPDM) ADテクノロジーを搭載したトヨタ シエナAutono-MaaS車両7台を用意しました。上記のMPDMは、運転中の膨大なシナリオAI処理して安全で快適な運行を実現させます。各車両は各々5人の乗客を乗せることができ、すべての車両にはアテンダントが同乗。質問に答えたり、必要に応じて乗客の乗り降りを手伝ったりします。
加えて3台は車椅子でもアクセス可能な仕様で、車椅子用スロープを介して車両後部から乗り降りをサポートします。車椅子対応時には車椅子使用者1人を含む最大3人の乗客を乗せることができます」と運行の詳細を説明した。
これを受けてメイ・モビリティのマニック・ダール最高商務責任者は、「メイ・モビリティは公共交通機関のギャップを埋めることに注力しています。そうした意味合いを含め、マルティネスでのPRESTO共有AVパイロットの活用では、コミュニティの繋がり方や移動方法に係るプロトコルについて再定義しています。今では当社の特許取得済みMPDMテクノロジーが地域住民にどのように役立ち、広範な運用で貢献できるかを楽しみにしています」と語っている。
なおCCTAとメイ・モビリティは、コントラコスタ郡中央部のコミュニティで、準交通バスサービスを提供するカウンティ・コネクション(County Connection)とも提携。
そうした動きについてカウンティ・コネクションのビル・チャーチル ゼネラルマネージャーは、「カウンティ・コネクションは、マルティネスADSの各車両に安全管理者として働く乗員を派遣しています。この取り組みは、全ての市民に移動の自由を貢献したいと願う我々の真摯なスタンスを示すものです。つまりADSの各車両に安全管理者が、乗客からの収集するフィードバックは自動運転モビリティの未来を考える上で重要な役割を果たします。
というのはPRESTOから得られるデータは、連邦運輸当局によって自動運転モビリティの基準向上に利用されるからです。従って同活動は米国運輸省の助成金によっても賄われています。そんな我々の活動は、CCTAが米国内に於いて、自動運転車パイロットプログラムを導入した3番目のエリアとなっています」と述べた。