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2025年2月13日【IoT】

メイ・モビリティ、ジョージア州で無人自動運転サービスを開始

坂上 賢治

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メイ・モビリティ、ジョージア州ピーチツリー・コーナーズで自動運転の無人運転サービスを開始した

 

自動運転車( AV / Autonomous Vehicle )関連技術に長けたメイ・モビリティ( May Mobility )は2月12日、ジョージア州グイネット郡・アトランタ郊外のピーチツリーコーナーズ市で、当地域初の商用自動運転によるMaaSサービスを始動させた。

 

同社は、ピーチツリーコーナーズで実施中の同サービスを、無人運転による運行形態へ移行させたことを宣言。メイ・モビリティにとっては、アリゾナ州サンシティ、並びにミシガン州アナーバーでの実証実験の成功に続き、米国に於ける3番目の無人運転車による輸送事例となった。

 

今回メイ・モビリティは、5Gインキュベーターのキュリオシティ・ラボ、通信キャリアのT-モバイル、ピーチツリー・コーナーズ市と当該運行サービスの構築に向けて提携。車両運行を監視するドライバーを配置した上で、2024年の9月からピーチツリー・コーナーズのキュリオシティ・ラボへの訪問者に対して自動運転仕様のトヨタ・シエナ・オートノMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)を利用した公共の移動サービスを提供した。

 

上記キュリオシティ・ラボとは、T-モバイルの5G通信を活用したスマートシティインフラ事業者(非営利)で、彼らの技術を活用することでトヨタ・シエナ・オートノMaaSの乗客は事実上、運転操作を担うドライバー無しで移動サービスを享受・利用できる仕組みだ。

 

ちなみに想定されている訪問先には、テクノロジー・パークウェイ沿いのホテル、レストランや小売店、オフィススペース、キュリオシティ・ラボのイノベーションセンター、ピーチツリー・コーナーズ市役所などを含む事前に決められた8か所の停留所があり、自動運転車は、それらを巡る。

 

 

今取り組みについてメイ モビリティのエドウィン・オルソンCEO兼創設者は、「ピーチツリーコーナーズでの移動サービスは、当社にとって3番目の自動運転事業となりました。

 

今回、ピーチツリーコーナーズ市初の自動運転サービスを当社が担えることを心より嬉しく思います。同事業の開始は、今日の多種多様な交通問題を解決させるために都市の自治体や当地のコミュニティと協力することへの重要性を再認識させるものとなりました。

 

当社が用意した車両には、特許取得済みのマルチポリシー意思決定( Multi-Policy Decision Making  / MPDM:自動運転意思決定AI )技術が搭載されており、現場のAI推論モデルを活用して複雑かつ予測不可能な運転条件を取り入れつつ継続的に学習を重ねて適応。より安全で快適な乗り心地と移動体験を提供します。

 

我々が開発したMPDMは、業界最大の課題である予期しない動的な条件に瞬時に応えるなど、様々なエッジケースへの適応を可能にしており、個々の自動運転車が初めて出逢う新たな環境に迅速かつ効率的に対応できるよう設計されています」と自社車両の搭載システムの信頼性について説明した。

 

 

これを受けてピーチツリー・コーナーズ市のブライアン・ジョンソン市長は、「キュリオシティ・ラボが提供するスマートシティ向けのエコシステムは、メイ・モビリティが取り組む輸送事業に対しても過去6か月間、安定した運行上の改善環境を提供してくれました。またメイ・モビリティ・チームは、3回目のドライバーアウト事業と米国初の商用事業に向けて慎重に準備を整えてきました。

 

加えてT-モバイルの5G通信のインフラ環境は、メイ・モビリティに対して低遅延・高帯域幅の安定した通信環境を提供してくれました。それの全ては今回、私たちが組み立てたMaaS計画とドライバーアウト運行に対して欠くことができない重要な柱となりました。

 

これからも住民と当市への訪問者が同MaaSを利用していくためには、それらの全てが引き続き重要な要素となりますが、私達行政側は彼らの取り組みを信頼して、この取り組みを続けていきます。

 

またそもそもメイ・モビリティ・チームが当市でのMaaS事業について、立ち上げから僅か6か月以内にドライバーアウト事業を実現できたことは本当に驚くべき成功例であり、住民と訪問者が今後も、そうした移動体験を愉しめること。それは当市をマネジメントしていく私自身としては心から誇らしく思っています」と述べた。

 

 

さて上記、メイ・モビリティのピーチツリー・コーナーズでの無人運転サービスは、月曜から金曜の午前9時30分から午後3時まで一般公開されており、各車両は一度に最大5人の乗客を収容できる。

 

乗客は、台湾・台北市の交通技術会社Via( VIA Technologies, Inc. )が提供するメイ・モビリティアプリ( App StoreとGoogle Playで入手可能 )を通じて、サービス提供に含まれる8つの停留所のいずれかへの乗車をオンデマンドで簡単に予約できる。アプリは、乗車の予約方法や車両へのアクセス方法をユーザーに迅速に案内でき、質問にも答えられる。

 

 

最後にメイ・モビリティは今後も、ピーチツリー・コーナーズ市と事業拡張に取り組んでおり、今年後半にはリフトと提携してアトランタ都市圏で自動運転車を運行開始する計画を立てている。

 

 

こうした米国内での無人運転サービスの導入計画の詳細は、2025年中に発表される予定としている。加えて同社は、先のCES2025で欧州イタリアの電動ミニバス製造会社Tecnobus(テクノバス)との提携を発表。最大30人の乗客を収容できる新型AVミニバスプラットフォームを導入することで、自らの事業ポートフォリオの拡大も図っている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。