自動運転(AD)テクノロジー企業の米メイ・モビリティ( May Mobility )は12月3日、トヨタ自動車九州(TMK)の宮田工場内(福岡)で、トヨタの自動運転車「e-Palette(eパレット)」を用いた構内輸送サービスへの参加を始動させたことを明らかにした。
そんなメイ・モビリティは、日本の名古屋市、ミシガン州アナーバー、ミシガン州デトロイト、ミネソタ州グランドラピッズ、フロリダ州マイアミ、テキサス州アーリントン、カリフォルニア州マルティネス、アリゾナ州サンシティなど、米国と日本を跨がり40万回以上の自動運転モビリティサービスを提供してきた。
そうしたなかで今回の取り組みは、モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)専用車eパレットへ、これまでメイ・モビリティが蓄積してきたソフトウエア技術を組み合わせることでカスタマイズに参画。今回は、業務上でTMK内を移動しなければならない従業員と、TMKへの訪問者に対して、構内に於ける効率的な自動運転モビリティとして提供される。
サービス始動に至る協業関係の発端は今日から遡ること約2年前2022年。トヨタ製eパレットの車両プラットフォームへ、メイ・モビリティが独自開発した自動運転ノウハウ(特許取得済)や、マルチポリシー系意思決定(MPDM)技術などを取り入れ、その後、両社は共同作業の成果を確かめるべく、日本国内で精緻な実走テストと検証作業を繰り返して、多角的な性能検証と車両挙動の改善を確認してきた。
そもそもeパレットは、トヨタ自動車のモビリティ・アズ・ア・サービス専用EVとして、充実した各種センサーの搭載を皮切りに、追加のコンピューティング システムを格納するためのスペース、追加でのサードパーティ製ハード&ソフトウエア導入の可能性も十二分に考えられていることから拡張性が高い。
従って車両周囲のセンサーから収集されるデータと、メイ・モビリティのMPDMテクノロジーの組み合わせにより、AIを介したリアルタイム学習能力が大幅に拡張した。
その結果、過去で経験したことのない状況下に遭遇した場合も、AIが素早く対処策のシナリオを再構築。そうした状況を学び続けることで運転機能を継続的に向上させられるようになったという。
こうした成果についてメイ・モビリティでCEO兼共同創設者を担うエドウィン・オルソン氏は、「トヨタとの長年に亘る協力関係は、モビリティ・アズ・ア・サービス領域の技術水準を飛躍的に高めていくための欠かせない重要なピースであり、今回はeパレットを包括したトヨタのMaaSプラットフォーム環境で、同社のシステム開発に貢献できていることを心から嬉しく思います。
今後もトヨタによるモビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)プラットフォームと、当社(メイ・モビリティ)の技術を組み合わせることを介して、日本国内に於けるMaaS環境が少しでも改善する機会を得られたら、それは〝世界の交通アクセスを向上させる〟という当社のビジョン実現にも繫がることから、とても誇らしく思います」と述べた。
ちなみにTMK構内でのMaaSサービスは、月曜から金曜までの通常営業時間中に従業員とゲストに対して移動手段を提供するものとなる。
提供される移動ルートには、指定されたゾーンを巡るもの。また設定されたポイントを通るものなど、各々6つの停車地を巡るスタイルとなる。また行政やトヨタが定めた安全規制に従い、eパレットの運行を監視する自動運転車両専用のオペレーター(AVO)が乗務する。
なお同MaaSサービス実施には、MONET Technologiesも参加しており、今後、将来的には追加サービスの実施で協力する予定。従って今回の運行サービスは、今年日本国内で計画されている幾つかのプランのうちのひとつとなる。またその際は、投資者のひとりでもあるNTTとも協力する予定であると結んでいる。