実勢速度は交通量が少なく、運転者が自由にスピードを決定できる交通状態にある場合で、大型トラックなど80km/h規制の車両の混在率も一定以下であることを条件にして算出されている。交通の流れに乗って走っているのにスピード違反で摘発されるということはほぼなくなるのだ。
一方、大型トラックやトレーラーの最高速度は、車重が重く制動距離が長く、全体と比較した場合の死亡事故率の高さが課題となり、今のところ見直しの対象にはなっていない。
120km/h試行になると、その低速車との速度差が40km/hに拡大する。また、小排気量の二輪車は、法的には120km/h走行は可能だが、巡航や追越加速は厳しい。最高速度120km/hは、スピード違反を気にしなくてもいいかわりに、一般道とは違った高速道路の走り方を、運転者が意識する必要がある。
「最高速度の引き上げは、120km/hで走らなければならない、というものではない。車両のコンディションや自分の運転特性を考えて正しい交通ルールでマナーを守って走ってほしい」(静岡県警・高速道路交通警察隊)
全国837kmで、最高速度引き上げの可能性
今後、最高速度の引き上げは、どんな区間で検討されているのか。警察庁は全国の高速道路13路線19区間の可能性を上げている(※表2参照)。
連続した区間では、試行区間を含む東北道(平泉前沢IC~盛岡南IC)73.3km、同新東名(浜松いなさJCT~御殿場JCT)144.6km、常磐道(三郷TB~日立南太田IC)101.3kmが目を引く。