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2020年12月4日【MaaS】

自民党MaaS議員連盟、マイクロモビリティ推進勉強会を開く

松下次男

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電動キックボードなどのマイクロモビリティ推進の勉強会

 

 自民党MaaS議員連盟マイクロモビリティPT(プロジェクトチーム)は12月4日、東京・永田町の衆院第二議員会館会議室で勉強会を開き、電動キックボードの走行条件緩和などマイクロモビリティの普及向けた課題や要望を討議した。

電動キックボードを巡っては新事業特例制度に基づき公道で走行実証実験中。これらの中間報告を踏まえ、マイクロモビリティ推進協議会がヘルメット着用義務免除や自転車歩行車道での走行など新たなルール作りを提案、要望した。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

 

 勉強会にはMaaS議員連盟の甘利明会長、山際大志郎マイクロモビリティPT座長およびメンバーの国会議員、それに警察庁、経産省、国交省、内閣府、金融庁、総務省の関係省庁の担当者が出席、参加した。

 

 自民党税制調査会会長も兼ねる甘利会長が冒頭に挨拶し、「ようやく世の中に、MaaSという言葉が定着するようになった」と新たなモビリティに関心が集まるようになったことを示すとともに、シェアサイクル設備の減免要求などが税調の議論に上がっていることに触れて次のような意見を披露した。

 

新事業特例制度に基づく電動キックボードの実証実験などを踏まえ、課題と要望を協議

 

「ウオーキングしていると、歩道を猛スピードで走る自転車に遭遇することがあり、非常に危険を感じる。道路交通法で自転車走行にも規制がかかっているが、どのような条件下で走行しているのか関係省庁間にただした。これに比べると、電動キックボードは安全だ」と述べたうえで、「車両と歩行者がしっかりと共存できるベースを構築、目指したい」と強調した。

 

山際座長は「世界中を見渡した時に、普通に電動キックボードが街の中を走っていないところを探すのが難しい」と述べ、それが進んでいないわが国の問題点を指摘。安全性を前提にしたうえで、「視点を変え、前向きに議論を進めてほしい」と普及できる環境づくりを促した。

 

 

 勉強会では、はじめにマイクロモビリティ推進協議会会長である岡井大輝Luup(ループ)社長兼CEOが産業競争力強化法に基づく「新事業特例制度」を用いた電動キックボード実証実験の中間報告を行うとともに、これを踏まえて電動キックボードに即したルール作りを提案、要望した。

 

現在、同推進協議会には6社が加盟しているが、新事業特例制度に基づく実証実験に取り組んでいるのはループ、EXx、Mobby Rideの3社。
実証実験の内容は、同制度で今回認められた規制緩和事項の普通自転車専用通行帯の走行および前照灯の位置、番号灯など機体の保安基準の緩和。実施時期は、2020年10月から2021年3月まで。
実施エリアは東京の千代田区、新宿区、世田谷区、神奈川県藤沢市、千葉県柏市、兵庫県神戸市、広島県尾道市、福岡県福岡市。

 

低速度制御下での自転車歩行者道の走行や、運転免許不要による運転などのルール作りを要望

 

 この実証実験について、同協議会では各種データーの収集・報告、事前教育、保健への加入、走行場所の明示を統一して取り組んでいる。
これまでのところ、実証実験参加者からは次のような声があがったという。「思ったよりもスムーズに乗ることができた。短距離の移動がとても楽しかった」(20歳代女性)「会社に通勤するのにヘルメットが邪魔になった。ヘルメットなしで自転車と同じように乗りたい」(30歳代男性)
「時速20キロメートルで走行すると、多くの自転車に抜かれてしまう。もう少しスピードを出して移動したい」(30歳代男性)「バックミラーはあっても使用しない。自転車と同じように振り向けば大丈夫」(40歳代男性)など。

 

 

こうした初期のユーザーの声から岡井会長は見えてきた課題として「ヘルメットの必要性に対する疑問」「車道上の駐車車両の存在」「他の走行車との速度差」「違法な電動キックボードの存在」「過剰な保安基準」「諸外国に比べて重い保険、税負担」「車両の横幅をはみ出すナンバープレート」を掲げた。
これを踏まえて、電動キックボード即した新たなルール作りをマイクロモビリティ推進協議会として要望した。

 

 具体的には、「ヘルメット着用義務の免除」「低速制御下(時速10-15キロメートル未満)でも自転車歩行車道の走行」「車道走行での適切な速度設定」「運転免許不要による運転」「電動キックボードの実態に即した保安基準の設定」「ナンバープレートに代わる機体識別方法」を提案し、検討を呼び掛けた。
この後、規制見直しに関する検討状況が各省庁から報告され、これらを踏まえてマイクロモビリティPTメンバーの議員らが意見を交わした。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。