電動キックボードなどのマイクロモビリティ推進の勉強会
自民党MaaS議員連盟マイクロモビリティPT(プロジェクトチーム)は12月4日、東京・永田町の衆院第二議員会館会議室で勉強会を開き、電動キックボードの走行条件緩和などマイクロモビリティの普及向けた課題や要望を討議した。
電動キックボードを巡っては新事業特例制度に基づき公道で走行実証実験中。これらの中間報告を踏まえ、マイクロモビリティ推進協議会がヘルメット着用義務免除や自転車歩行車道での走行など新たなルール作りを提案、要望した。(佃モビリティ総研・松下次男)
勉強会にはMaaS議員連盟の甘利明会長、山際大志郎マイクロモビリティPT座長およびメンバーの国会議員、それに警察庁、経産省、国交省、内閣府、金融庁、総務省の関係省庁の担当者が出席、参加した。
自民党税制調査会会長も兼ねる甘利会長が冒頭に挨拶し、「ようやく世の中に、MaaSという言葉が定着するようになった」と新たなモビリティに関心が集まるようになったことを示すとともに、シェアサイクル設備の減免要求などが税調の議論に上がっていることに触れて次のような意見を披露した。
新事業特例制度に基づく電動キックボードの実証実験などを踏まえ、課題と要望を協議
「ウオーキングしていると、歩道を猛スピードで走る自転車に遭遇することがあり、非常に危険を感じる。道路交通法で自転車走行にも規制がかかっているが、どのような条件下で走行しているのか関係省庁間にただした。これに比べると、電動キックボードは安全だ」と述べたうえで、「車両と歩行者がしっかりと共存できるベースを構築、目指したい」と強調した。
山際座長は「世界中を見渡した時に、普通に電動キックボードが街の中を走っていないところを探すのが難しい」と述べ、それが進んでいないわが国の問題点を指摘。安全性を前提にしたうえで、「視点を変え、前向きに議論を進めてほしい」と普及できる環境づくりを促した。
勉強会では、はじめにマイクロモビリティ推進協議会会長である岡井大輝Luup(ループ)社長兼CEOが産業競争力強化法に基づく「新事業特例制度」を用いた電動キックボード実証実験の中間報告を行うとともに、これを踏まえて電動キックボードに即したルール作りを提案、要望した。
現在、同推進協議会には6社が加盟しているが、新事業特例制度に基づく実証実験に取り組んでいるのはループ、EXx、Mobby Rideの3社。
実証実験の内容は、同制度で今回認められた規制緩和事項の普通自転車専用通行帯の走行および前照灯の位置、番号灯など機体の保安基準の緩和。実施時期は、2020年10月から2021年3月まで。
実施エリアは東京の千代田区、新宿区、世田谷区、神奈川県藤沢市、千葉県柏市、兵庫県神戸市、広島県尾道市、福岡県福岡市。
低速度制御下での自転車歩行者道の走行や、運転免許不要による運転などのルール作りを要望
この実証実験について、同協議会では各種データーの収集・報告、事前教育、保健への加入、走行場所の明示を統一して取り組んでいる。
これまでのところ、実証実験参加者からは次のような声があがったという。「思ったよりもスムーズに乗ることができた。短距離の移動がとても楽しかった」(20歳代女性)「会社に通勤するのにヘルメットが邪魔になった。ヘルメットなしで自転車と同じように乗りたい」(30歳代男性)
「時速20キロメートルで走行すると、多くの自転車に抜かれてしまう。もう少しスピードを出して移動したい」(30歳代男性)「バックミラーはあっても使用しない。自転車と同じように振り向けば大丈夫」(40歳代男性)など。
こうした初期のユーザーの声から岡井会長は見えてきた課題として「ヘルメットの必要性に対する疑問」「車道上の駐車車両の存在」「他の走行車との速度差」「違法な電動キックボードの存在」「過剰な保安基準」「諸外国に比べて重い保険、税負担」「車両の横幅をはみ出すナンバープレート」を掲げた。
これを踏まえて、電動キックボード即した新たなルール作りをマイクロモビリティ推進協議会として要望した。
具体的には、「ヘルメット着用義務の免除」「低速制御下(時速10-15キロメートル未満)でも自転車歩行車道の走行」「車道走行での適切な速度設定」「運転免許不要による運転」「電動キックボードの実態に即した保安基準の設定」「ナンバープレートに代わる機体識別方法」を提案し、検討を呼び掛けた。
この後、規制見直しに関する検討状況が各省庁から報告され、これらを踏まえてマイクロモビリティPTメンバーの議員らが意見を交わした。