トヨタは、歴代豊田家が世代毎に新事業を紡ぎ出すことを経営の指針としていて、それに沿い自動織機から自動車へ、そして住宅を経て1997年からは本格的にマリン事業に取り組んだ。
しかし新たな舞台である海の事業は必ずしも「順風満帆」とはいかず、近年では先の2016年3月に、マリン事業の規模拡大を目指し、ヤンマー株式会社(本社:大阪府大阪市、社長:山岡 健人)と技術開発、生産、部品の相互利用等の協業で合意。
ヤンマーが独自に保有するFRP成型技術と、トヨタ自らの船体構造とを融合するなどで、翌2017年に軽量かつ複雑な曲面形状を可能とするハイブリッド造形技術・量産化の目途を切り拓いた。
トヨタのマリン事業は、これらの努力や新技術開発へ取り組みを前提に自動車エンジンや自動車技術を応用。さらに品質管理基準も導入している。その結果、2017年1月に発表したコンセプトヨット「LEXUS Sport Yacht Concept」を源流に、LEXUSの製品テイストを余すところなくボートに注ぎ込み「LEXUS LY650」の今披露に至っている。
従ってLY650の開発コンセプトは、過去に自動車業界でトヨタが表現してきたLEXUS独自の世界観と、デザインフィロソフィーを65フィートヨットで具現化したものだ。
例えばスタイリング上では、既存他社のマリン製品とは異なるLEXUSらしいラグジュアリー感とは何かを追求。船首から船尾に至るまで立体的なフォルムと優美な曲線の美しさを実現したほか、クーペのようなルーフラインやリヤの豊かなボリューム感で躍動的な造形を創り出している。
この新たな船体完成に至った経緯と感慨について、トヨタ自動車の副社長である友山茂樹氏は、「夢のような時間を提供し、お客様のライフスタイルを広げたいとの思いで開発して参りました。LEXUS Sport Yacht Conceptから約2年を経て、モビリティの可能性を海にも広げるLY650を発表できることを嬉しく思います」と話している。