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2024年4月9日【CASE】

埼工大、自動運転通学バスを増便 AI技術体験の機会拡大へ

坂上 賢治

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最寄り駅前から自動運転バスに乗車する新入学生と保護者

 

埼玉工業大学は4月9日、深谷観光バスの協力を得て開発した大型自動運転バス( 全長9m、日野レインボーⅡ )をスクールバスとして今年の新学期も運行する。

 

より具体的には、大学と最寄り駅( JR高崎線「岡部駅」)間の約1.6kmの公道を、一般車両と混在した法定速度内に於いて自動運転( レベル2 )で運行する。また今年度は、運行時間帯を拡げて運行回数を最大1日18便に増やす。

 

この自動運転スクールバスは、昨年2022年9月より運行を始め、既に多数の学生が自動運転を体験した。当該バスにはドライバーも乗車するが、ハンドルとアクセル・ブレーキの操作はAIによる自動システム制御で自動走行する。

 

同バスに係る大きな特長は、システムによる自動運転モードと、ドライバーによる手動運転を即時にスムースに切り替えられるところだ。従って状況に応じて安全でスムースに公道を一般車両と混在して走行できる。

 

渋沢栄一新一万円札発行記念「自動運転バス試乗会in深谷」乗車レポート

 

ちなみに2023年度には、渋沢栄一新一万円札記念・深谷自動運転バス試乗会を筆頭に、東京都・西新宿、神奈川県・川崎市、奈良県・明日香村/三郷町の自動運転実証実験に参加。これまでに全国各地の実証実験に多数参画して技術検証の課題解決に取り組み、実践的な研究・開発で成果を高めてきた。

 

開発車両の仕様は、日野レインボーをベースにした長さ:910cm、幅:244 cm、高さ:307 cm、定員58人乗り、5.19Lディーゼル車で、Autoware( The Autoware Foundationの商標 )を採用した自動運転の実証実験用車両。

 

そのAutowareをジョイスティック車としてカスタマイズする形で開発して自動運転AIを搭載。AIによる障害物の検知( 識別・分類 )機能を強化して、複数のライダーやカメラの画像情報をディープラーニング( 深層学習 )を介して周辺認識。障害物を回避して走行する。なお開発した自動運転機能を後付けで搭載した大型バスは、路線バスとして営業運行するために緑ナンバー(業務用)を取得済みだ。

 

車両の開発は、埼玉県の補助とミクニライフ&オート(社長:佐藤 好宏、本社:埼玉県加須市)の全面的な技術協力により産学官連携で実現している。

 

入学式会場前の様子

 

今年は当該バスを今年度の入学式(本年4月1日開催)で、新入生と保護者の送迎に自動運転スクールバスとしても特別運行させた。同校で自動運転バスを使用して入学式の送迎をするのは、昨年に続き2年連続の実施ではあるが、全国の大学に於いては先例のない事例となった。

 

なお今年度は、より多くの学生がAIの応用を体験できるよう、自動運転スクールバスを4月10日(水)より週3日間、1日最大18便を運行する。

 

同校はⅮXに対応する人材育成を強化してきており、工学部情報システム学科AI専攻をはじめ、全学部学科でAIの基礎を学べる教育カリキュラムがある。また自動運転技術に対応する人材育成に向けて「自動運転技術専攻」を工学部情報システム学科(2025年4月開設)を新設する予定だ。

 

自動運転バスの車内モニター

 

自動運転バスの運行情報は以下通り

 

運行予定期間は、2024年4月10日(水)~8月2日(金)の毎週水曜日~金曜日の3日間。
水曜日と木曜日は、8:30~15:25、金曜日は8:30~11:25の時間帯での運行。スクールバスの運賃は無料。但し当該バスが他の地域での実証実験に参加する際には運休する。なお、定期点検、メンテナンスなどのため運行しないこともある。

 

スクールバス運行表:https://www.sit.ac.jp/media/2024.zenki.1.2.pdf
・運行時間は、下記スクールバス運行表の【 岡部駅(南口)⇔ 大学発 】8:30~15 :25の一日、18便。着座での運行となるため乗車定員は、最大で22名となる。

 

最後に同校では2019年4月、自動運転技術開発センター(センター長:渡部大志教授)を設立。今年1月には、研究体制を強化に向けて研究者を倍増して、自動運転の研究・開発に取り組んでいる。

 

昨年4月の改正道交法の施行により自動運転のレベル4が解禁され、全国各地で自動運転の実証実験が拡がる中、今後はレベル4への対応も視野に入れて産学官連携で社会実装に向けた開発を推進していく。

 

そんな埼工大は、埼玉県先端産業創造プロジェクトのスマートモビリティ実証補助に2年連続で採択された他、令和3年度埼玉県デジタル技術活用製品開発費補助にも採択されている。

 

ITS World Congressの公式TVによる埼工大の自動運転への取り組み

 

<関連情報>
深谷観光バス株式会社:https://www.fukayakanko.com/
・埼工大 自動運転特設サイト:http://saikocar.sit.ac.jp/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。