京セラは、太陽電池モジュールの封止材料を製造する中国の「杭州福斯特应用材料股份(ハンゾーファーストアプライドマテリアル/以下、ファースト社)」と、京セラが保有する太陽電池モジュール用封止材料に関する特許技術を、ファースト社のみにライセンス供与すること、および、新規封止材料の共同開発を行うことに関して、8月1日に基本合意書を締結した。
太陽電池モジュールの封止材料は、セルを保持し、表面のガラスと裏面のバックシートを接着、水分の浸入などの外部環境から保護する部材。
通常のモジュールには、紫外線や湿度、熱などのストレス下において、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる封止材料内に酸が発生してセルの電極が劣化、モジュール自体も劣化してしまうという課題があるが、特許技術ではEVA内の酸の発生を抑制して劣化を低減。京セラ製太陽電池モジュールは、この特許技術によって高い長期信頼性を実現してきたと云う。
京セラは、1975年に太陽電池に関する研究開発を開始して以来、45年以上にわたる研究開発の中で、製品の長期信頼性に関する技術を培ってきた。
一方、ファースト社は、2003年から太陽光関連事業に参入し、モジュール向けを中心に封止材料の研究開発や製造などを進め、2019年には世界シェア50%を占める世界トップメーカーにまで成長した。
両社は2018年から、ファースト社が京セラの太陽電池モジュール用「封止材料」を受託製造することを通じ、協力体制を構築するとともに製造技術を蓄積。
また、自然エネルギー100%を推進する国際ビジネスイニシアティブのRE100推進のために太陽光発電をより普及させることや、SDGsのGoal 11(※)実現に向けた廃棄物総量削減のためのモジュールの長寿命化など、環境問題への解決策についても、それぞれ多面的に取り組んできたと云う。
このような背景から、太陽電池モジュールに関するさらなる技術開発が急務と考える両社は、今回の基本合意を締結。京セラは、長期信頼性に関する特許技術をファースト社に独占的にライセンス供与し、今後、さらなる長期信頼性向上のため、同技術をベースとした共同開発をファースト社と実施していく。
京セラとファースト社は、新たな封止材料の開発および普及を通して、太陽電池モジュールにさらに高い信頼性を担保し、今後、太陽電池モジュールの生涯発電量を増加させるとともに、太陽電池モジュールの廃棄総量の低減にも貢献。これにより、RE100やSDGsなどを推進していくとしている。
※Goal 11:より具体的には、「11.6.1 都市で生み出された固形廃棄物の総量のうち、定期的に収集され適切に最終処理されたものの割合(都市別)Proportion of urban solid waste regularly collected and with adequate final discharge out of total urban solid waste generated, by cities」
■杭州福斯特应用材料股份(英語):http://www.firstpvm.com/en/index.asp