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2020年12月10日【エネルギー】

KPMG、「2020年度CIO調査」日本語版を刊行

NEXT MOBILITY編集部

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KPMGコンサルティングは、ハーヴィー・ナッシュ社と合同で、世界83ヵ国、4,219名のCIO(最高情報責任者)およびテクノロジーリーダーを対象に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の前、初期、そして現在進行中の影響について世界最大規模の意識調査を実施し、「Harvey Nash/KPMG 2020年度CIO調査」(以下、CIO調査)の日本語版を刊行したと、2020年12月10日発表した。

 

今回の調査では、新型コロナの危機に対処するためにIT予算の5%程度が追加支出され(5%は回答中央値)、55%のCIOおよびテクノロジーリーダーの予算が拡大したことが明らかになった。また、22回目を迎える今年は、2019年12月~2020年3月と、2020年5月~8月の2回に渡り調査を実施した結果CIOおよびテクノロジーリーダーにとってサイバーセキュリティのニーズが高いことが明らかとなった。その背景には、リモートワーカーを狙ったサイバー攻撃を受ける間口が急激な広がりを見せたことで、4割以上の回答者が新たなサイバーインシデントを経験していることが挙げられる。

 

 

「2020年度CIO調査」の主な調査結果

 

■テクノロジー投資は高水準に

2020年の初め、テクノロジー投資は非常に活発な状態だった。オペレーションの効率化、顧客との繋がり/関係性、新しい製品やサービスの開発が必要とされ、過去12ヵ月でIT予算が増加したと回答しているCIOおよびテクノロジーリーダーの比率は55%となった。(図1)。

 

【図1 過去12ヵ月でIT予算が増加したと回答した割合】

 

 

■ニューリアリティにおける経営層の優先課題とテクノロジー投資戦略

分野別のテクノロジー投資の重要度に関し、「労働力の最適化」が、新型コロナ前の8位から急上昇してトップ3に入った。企業のリモートワークを実現し、多種多様な職種や専門の従業員が関係と生産性を維持するためのツールを提供するうえでテクノロジーチームが重要な役割を果たしていることがうかがえる。(図2)。

 

「オペレーションの効率化」と「顧客との繋がり/関係性の改善」は、新型コロナ前に引き続き、新型コロナ以降も上位を占めているが、CIOおよびテクノロジーリーダーからの回答をみると、これらの目的は変化している傾向にある。「顧客との繋がり/関係性」は、より良い関係やデジタル体験を充実させるだけでなく、市場への新しいチャネルを開拓し、消費者行動への理解を深め、非対面の方法であっても顧客との関係を強化できるようにすることに重点を移していることがわかった。一方「オペレーションの効率化」も、企業が自動化やリーンガバナンス・モデルによって混乱や資源の制約を補おうとするなかで、まったく新しい観点で定義される可能性がある。

 

【図2 テクノロジー投資の最重要が高い分野トップ3】

 

 

■テクノロジーマネジメント

ニューリアリティを考えた際に重要視されるテクノロジー投資分野について、回答者の約半数(47%)は、セキュリティとプライバシーを最も重視し、新型コロナがデジタルトランスフォーメーション(DX)と新興技術の採用を恒久的に加速したと答えている(図3)。

【図3 テクノロジー投資の最重要分野】

 

 

■リモートワークの急増とともに増加したサイバー攻撃、トップはスピアフィッシングとマルウェア

2019年の調査では、サイバー犯罪に対する経営層の関心が高まるとともに投資が拡大し、サイバー攻撃がピークアウトし減少し始めたとの結果が出た。2020年の調査においても、新型コロナ前にまとめた回答では、大規模攻撃は再び減少していた。ところが、新型コロナの影響で、多くのオフィスワーカーが突然セキュリティ対策の整った環境から自宅などでのリモートワークとなり(回答者の86%がかなりの割合の従業員をリモートワークに移行させていることを報告)回答者の4割以上(41%)がリモートワークによるサイバーセキュリティインシデントの増加を経験したと報告している。

 

また、回答者の4分の3は新型コロナによって攻撃対象領域が拡大し、サイバーセキュリティの重要性が高まったとしている。特にスピアフィッシングとマルウェア攻撃が急増したことから見て、リスクの増大は主に新たにリモートワークになった従業員に対する社内の脅威によるものと考えられる。つまり、対外的な境界のセキュリティを技術的に高めるよりも、社内の人材を教育することに重点をおくべきと考えられる(図4)。

【図4 新型コロナにより増加したサイバー攻撃の種類】

 

 

■「Harvey Nash/KPMG 2020年度CIO調査」について

この調査は、世界最大規模の回答者数を誇るCIOおよびテクノロジーリーダーを対象とした調査。2020年度の第1回目は、新型コロナが中国以外で問題になる前の2019年12月下旬に開始した。2020年3月に2,791人から回答を集めた時点で調査を中断し、その後新型コロナ関連の質問を含め、5月から8月にかけて第2回目として調査を開始し、新たに1,428人から回答を得た。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。