神戸製鋼所は12月17日、同社が開発中の「舶用バイナリー発電システム」について、商船三井と共同で春山海運のばら積み貨物船(今治造船建造、215千トン、本年10月竣工)に搭載し、約3年間の実船運用に関する共同研究を行うと発表した。今回初めて、貨物船における積載可能量の最大サイズであるケープサイズの貨物船に同装置を搭載し、実際の運用条件における本装置の性能や耐久性の確認を行う。
搭載する舶用バイナリー発電システムは、従来、大部分が廃棄されていた船舶の主エンジンの掃気冷却に伴う廃熱を熱源に、最大約100kWの発電が可能。船舶の中で大半を占めるエンジン出力5,000kWクラス以上への適用可能なことから、幅広い船舶に対応できる。負荷変動が大きくなるが、同社のスクリュ式バイナリー発電機を利用することで、低負荷から高負荷まで幅広いレンジで発電が可能となるという。
発電した電力は船舶における動力の補助電源などに有効活用することで、発電機エンジンのCO2排出量及び燃料の削減に貢献するとしている。
舶用業界では、国際海事機関(IMO)によってCO2排出制限について、船舶に対し2008年比で2030年までに40%減、更に2050年までに70%減との目標が設けられ、対応が急務とされている。神戸製鋼では、2011年に陸上用のバイナリー発電システム「マイクロバイナリー」を開発、販売開始し、工場排熱、地熱などを熱源とした分野に多くの納入実績がある。こうした知見をもとに、船舶における廃熱に着目し2014年から舶用のバイナリー発電システムの開発を開始、2016年にプロトタイプでの海上試験を完了し、商品化を進めているところだ。同システムは、日本海事協会(日本)、Lloyd(イギリス)、DNV・GL(ノルウェー)及びABS(米国)の認証機関の基本承認を取得している。
■搭載システムの系統イメージ図