神戸製鋼所は川崎汽船と共同で、神戸製鋼が開発する「舶用バイナリー発電システム(※1)」を搭載した、2月1日竣工の川崎汽船の石炭専用船「CORONA YOUTHFUL」(91千トン)を用い、約3年間の実船運用に関する共同研究を実施。実際の運用条件における同装置の性能や耐久性の確認を行う。
搭載した舶用バイナリー発電システムは、従来、大部分が廃棄されていた船舶の主エンジンの排熱を熱源に最大約100kWを発電し、船舶の動力の補助電源などに活用。発電機エンジンの燃料及びCO2の削減に貢献すると云う。
舶用業界では、2018年4月に国際海事機関(IMO/※2)によって、船舶に対し2008年比で2030年までに40%減、更に2050年までに70%減に努めるというCO2排出制限目標が設けられ、対応が急務となっている。
神戸製鋼は、2011年、陸上用のバイナリー発電システムの「マイクロバイナリー」を開発・販売し、工場排熱や地熱などを熱源とした分野に多くの納入実績がある。
こうした知見をもとに、船舶における排熱に着目。2014年から舶用のバイナリー発電システムの開発を開始し、2016年、プロトタイプでの海上試験(※3)を経て、現在、商品化を進めている。
神戸製鋼は、同システムに関して、日本海事協会(日本)、Lloyd(イギリス)、及びDNV・GL(ノルウェー)の認証機関の承認を取得。グローバルに展開し、舶用業界における環境負荷低減に貢献していくとしている。
[舶用バイナリー発電システムの特長]
●船舶の中で大半を占めるエンジン出力5,000kWクラス以上への適用が可能なことから、幅広い船舶に対応可能。
●舶用エンジンは負荷変動が大きいが、神戸製鋼のスクリュ式バイナリー発電機を利用することで、低負荷から高負荷まで幅広いレンジで発電が可能。
※1:バイナリー発電は、温水、低圧蒸気、エア等の低位の熱源により沸点の低い作動媒体を加熱、蒸発させてその蒸気でタービンを回し発電する。
※2:国際海事機関(International Maritime Organization:IMO)海上の安全、船舶からの海洋汚染防止等、海事分野の諸問題についての政府間の協力を推進するために1958年に設立された国連の専門機関。本部はロンドン。
※3:同研究開発は、国土交通省の「次世代海洋環境関連技術開発支援事業」及びNKの共同研究テーマに採択され、実施。
■(神戸製鋼所)バイナリー発電システム「マイクロバイナリー」:http://www.kobelco.co.jp/products/standard_compressors/microbinary/index.html