近畿日本鉄道(近鉄)は6月21日、既存の車両に搭載して高頻度に線路の状態を検測できる新型軌道検測装置を導入すると発表した。
既存の営業列車で軌道検測を行う取組みは、JRを除く鉄道事業者では初。近鉄は、少子高齢化による将来の労働人口の減少を見据え、鉄道事業の安全安心の根幹を支える鉄道メンテナンス業務について、最新技術を用い効率化・生産性向上に取り組んでいく。
新型軌道検測装置は、既存の営業車両の床下に搭載し、運行中にレールにレーザーを照射して線路のゆがみを検測する装置で、検測データはリアルタイムに無線伝送される。
装置を車両に搭載することで、無人軌道検測を可能とし、高頻度の検測により線路の状態把握をより高いレベルで行うとともに、タイムリーに線路の補修を行うことができるため、乗り心地の向上や、効果的なメンテナンスが期待できると云う。
近鉄は、今後も引き続き鉄道メンテナンス業務について効率化・生産性向上を順次推し進めていくとしている。
[新型軌道検測装置の概要]
<搭載概要>
1編成(2両)の床下に搭載する。
<検測項目>
・軌間(左右レール間の幅)
・水準(左右レールの高さの差)
・通り(レール長さ方向の左右のゆがみ)
・高低(レール長さ方向の高さのゆがみ)
・平面性(2点間の水準の差)
<検測概要>
・レールにレーザーを照射して線路のゆがみを検測。
・検測したデータは、無線にて本社サーバーに伝送され、データ解析を行う。
・待避線に入った場合や折返し運転を行った場合でも、位置を自動的に検知し、処理。
<新型軌道検測装置による効果>
・営業列車で検測するため、高頻度の検測が可能に。これにより、タイムリーに線路の補修を行うことができるため、乗り心地の向上や、効果的なメンテナンスを行うことができる。
・無人で検測できるため、検測作業の省人化・省力化が図れる。
<今後の予定>
・大阪線、名古屋線等を順次走行させ、データを収集する予定。
・2020年度を目途に、搭載編成をさらに1編成追加予定。