KDDI、アイサンテクノロジーは10月14日、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下「NICT」)が行った「Beyond 5G研究開発促進事業」に関わる公募に対して、「ドローン・自動運転車の協調制御プラットフォーム」を提案し、2021年10月4日に採択されたと発表した。
両社は、Beyond 5G時代に、ヒトやモノの最適な移動手段や、高度化した社会インフラメンテナンスなど、あらゆる領域のサービスを提供する社会基盤となる協調制御プラットフォームの構築を目指す。この研究開発においては、ドローンと自動運転車に対して協調制御を行うためのプラットフォームと、それらをつなぐBeyond 5Gネットワークの研究開発を行い、2022年度以降の実証を推進する。
なお、KDDI総合研究所は、KDDIの協力先として本研究開発に参画する。
近年の新型コロナウイルス感染症拡大による巣ごもり需要増加に伴う荷役の増加は、ドライバー不足・交通渋滞をさらに深刻化させている。一方で、高齢化による地方などの交通弱者は引き続き増加する。そのような背景のもと、KDDIは日本が目指すSociety5.0の実現に向け、次世代の社会構想である「KDDI Accelerate 5.0」を策定し、ドローン・自動運転車をモノ・ヒトの移動という生活インフラを支える重要な役割と位置づけている。
研究開発の将来的なイメージとして、ドローン・自動運転車の運行情報を協調制御プラットフォームが収集し、分析を行い、最適な配送方法を指示し効率的な配送を実現。また、各ドローン・自動運転車はBeyond 5Gによる低遅延・高画質な遠隔監視により管理される。
Beyond 5Gのネットワークでは、映像配信、XR、自動運転、インフラ管理などのあらゆるサービス分野において、5Gの特長である「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」を最大限に活用するため、柔軟性および効率性を備えた通信ネットワークの実現が求められている。特に、自動運転技術の実用化による市場成長が見込まれるモビリティ領域においては、従来の人が利用する場所に加え、国土全体や海、空、宇宙空間までを三次元的につなぐ必要がある。
■研究開発の概要
1. ドローンと自動運転を協調制御するための三次元地図を活用したプラットフォーム開発
・スマートドローンプラットフォームと自動運転プラットフォームの位置情報連携を行うためのインターフェイスの開発と連接対応
・ドローンと自動運転の自律運行のベースとなる三次元地図の統合および、三次元地図のリアルタイム更新機能の開発
2. あらゆるモビリティがつながるためのBeyond 5Gネットワーク構築に向けた開発
・NICTの電波伝搬シミュレーター活用による、セルラー方式の通信の三次元の電波伝搬モデルの開発
・セルラー方式の通信と衛星を利用した通信を組み合わせたハイブリッドアーキテクチャの構築
■実証試験
開発した各技術を統合し、2022年度以降で、ドローン、自動運転、ヒトの組み合わせによる配送の効率化を実証する。
両社は、協調制御プラットフォームとして発展することで、物流最適化や陸上でのヒトの移動にとどまらず、空を含めたヒトの移動の選択肢の増加や様々な分野・サービスへの横展開により、社会基盤の確立を目指す。