愛知県春日井市(以下「春日井市」)、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学(以下「名古屋大学」)、KDDI、KDDI総合研究所の4者は6月18日、自動運転車「ゆっくりカート」の運行管理の実証実験を、6月21日から8月27日に実施すると発表した。
この実証実験は、愛知県春日井市高蔵寺ニュータウン地区における新モビリティサービスによる地域活性化を目的とした「自動運転×MaaS実証企画」の第2弾。
KDDIとKDDI総合研究所が開発した、自動運転車向けには国内初(KDDI総合研究所調べ)となる複数予約の運行経路設定や相乗り調整を自動で行う運行管理システムを利用する。また、システムでの予約が不要な定時定路線型ミニバスの自動運転実証実験も同時に行う。
なお「ゆっくりカート」とは、電動ランドカー(ヤマハ発動機製)をベースに名古屋大学が開発したもので、誘導線方式ではない、公道を走行できる日本初の自動運転カート。
4者は、今後もさまざまなパートナーと連携し、移動手段の拡大などにより、地域密着型MaaSのさらなる高度化を図るとともに、社会実装に向けた取り組みを推進していくとしている。
■背景・課題
高蔵寺ニュータウン地区は、街開きから50年以上が経過し、初期入居者が一斉に高齢期を迎え、坂道が多い土地柄や人口減少などによる路線バスの運行本数の減少から、運転免許証返納後の移動手段に不安を抱える人が多くなっている。
4者は、同地区内の移動を支援する自動運転サービスの実証実験を実施してきたが、ユーザーの乗車希望に合わせて運行経路や運行時間を都度設定するには、ノウハウを持つオペレーターによる緻密な計算や手作業が必要なため、時間枠ごとに1組のみ乗車を受け付けるという柔軟性に欠ける運用が課題となっていた。
■今回用いる運行管理システムの特徴
このシステムは、オンデマンド走行を行うゆっくりカートの乗車予約管理、配車調整、運行経路の設定と自動運転システムへの登録などの機能を自動化する。これにより、乗車予約受け付けを行う電話受付オペレーターや、自動運転システムへの経路登録を行う車両オペレーターの負担を軽減するほか、特別なノウハウも不要となるため、自動運転サービス提供における課題解決に貢献する。なお、自動運転車を対象に、複数予約に基づく相乗り調整を含めた運行経路の自動登録を行うシステムとしては国内初となる。
■各者の役割
春日井市:広報活動、実証実験地区への協力依頼、住民参加の募集
名古屋大学:自動運転の実証実験企画、自動運転車の運行
KDDI:MaaSアプリの監修・開発・提供
KDDI総合研究所:MaaS/自動運転運行プラットフォームの開発・運用支援
<本実証実験協力団体及び企業>
名鉄バス株式会社:自動運転車の予約受付業務などの協力