岩谷産業、川崎重工業、シェルジャパン、電源開発(以下「Jパワー」)、丸紅、ENEOS、川崎汽船の7社は4月9日、HySTRAとして2016年から取り組んでいた NEDOの助成事業「未利用褐炭由来水素大規模海上輸送サプライチェーン構築実証事業」において、世界初の褐炭から製造した水素を液化水素運搬船で日豪間を海上輸送・荷役する実証試験を完遂したことを記念し式典を開催した。
事業を通じて、HySTRAは、大量の水素を製造・輸送する技術を開発し、サプライチェーン構築時の課題を抽出するために、日豪間で実証試験を行った。世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」は、2021年12月に日本を出港、2022年1月に豪州に到着、褐炭から製造した水素を積荷し、2022年2月に日本に帰港した。帰港後、液化水素運搬船から陸上の液化水素タンクに荷揚作業を行い、実証試験中の各種運用データを検証した結果、無事に完遂できたことを確認した。
今回の実証試験により、国際的な液化水素サプライチェーン構築が可能なことが立証された。試験を通じて安全に運用できることを実証できた装置や設備は、今後のクリーンエネルギービジネスのゲームチェンジャーとなる技術であり、天然ガスのように水素をエネルギーとして当たり前に使える社会の実現に、さらに一歩前進した。今後、さらなる設備の運用を通じて、将来の商用水素サプライチェーン構築に資するデータや知見を積み重ねていくとしている。
■7社の役割
・岩谷産業
液化水素荷役実証ターミナル「Hy touch 神戸」の運営
・川崎重工
液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」および液化水素荷役実証ターミナル「Hy touch 神戸」の開発/建造
・シェルジャパン
STASCO ( Shell International Trading and Shipping Company Limited )による液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」の運航
・Jパワー
ラトローブバレー産褐炭からの水素ガス製造設備を建設/運用
・丸紅
総合商社としてのノウハウを活用した CO2 フリー水素サプライチェーン技術の社会実装に向けた検討
・ENEOS
CO2フリー水素サプライチェーンの事業性検討
・川崎汽船
LNG運搬船の運航で培った知識と経験を活用し、液化水素の安全な運搬を支援
日豪サプライチェーン実証試験構成図