川崎重工は7月19日、明石工場の自家発電設備(当社製高効率ガスタービン「M1A-17D」)にリチウムイオン蓄電池と太陽光パネルを組み合わせ、蓄電ハイブリッドシステムの実証試験を開始したと発表した。
このシステムは、ガスタービン発電の排熱を利用した熱エネルギー供給と、太陽光発電やガスタービン発電、リチウムイオン蓄電池の充放電により、ユーザーの熱と電気の使用状況に応じた最適なエネルギー供給を実現する。
M1A-17D
■システムの特長
(1) 余剰電力の蓄電による省エネルギー
・熱需要に合わせてガスタービンを運転した際に発生する余剰電力は、蓄電池に充放電することで、有効利用が可能となる。また、余剰電力の効果的な売電への貢献も可能。
(2) 仮想同期発電機制御(VSG)を搭載
・発電機特性を模擬することで、再生可能エネルギーと協調した自立運転を実現。
・系統連系運転と自立運転の無瞬断切替により、無停電で電力供給を継続。
(3) 事業継続計画(BCP)の実現
・停電時に、蓄電した再生可能エネルギーの電力でガスタービンのブラックアウトスタートが可能。
・再生可能エネルギー、ガスタービン、蓄電池の充放電によって、停電時エリアへの給電が可能。
(4) 計画値同時同量制度への対応
・蓄電池システムを監視・制御し、ガスタービンと蓄電池の協調制御を行う統括制御装置により、計画値同時同量を実現。
実証では、システムの安定性や運用性についての機能確認に加え、再生可能エネルギーと協調した自立運転を実現するための自社開発した仮想同期発電機制御(VSG)の評価も行う。このシステムの蓄電池およびガスタービン発電の最適な制御により、設備導入者は、太陽光発電をはじめとする気象条件で発電出力が変動する再生可能エネルギーの有効活用や、電力の需給調整市場への効果的な電力の販売による収益向上が可能となる。
川崎重工では、実証で得られた知見を活かし、環境負荷の低減、低炭素・脱炭素の実現に向けた市場ニーズに的確に応える製品・システムの開発をすることで、地球環境の未来に貢献していくとしている。
蓄電ハイブリッドシステムの模式図
■仕様表