川崎重工は12月28日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業」の「革新的液化技術開発」に係る採択を受け、水素液化機の大型化・高効率化開発を開始したと発表した。
今回の開発では、川崎重工100%子会社の日本水素エネルギーを幹事会社として、同様にNEDOの公募として採択された「液化水素サプライチェーンの商用化実証事業」と連携しながら、2021年6月18日に経済産業省が関係省庁と策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に示されている2030年30円/Nm3(船上引き渡しコスト)、および2050年20円/Nm3以下(船上引き渡しコスト)の水素供給コストを実現するための技術開発を行う。
再生可能エネルギー由来の水素製造や二酸化炭素回収技術を用いた褐炭由来の水素製造など、さまざまな方法・地域で製造される水素ガスを、大量かつ効率的に日本に輸送するために必要な液化技術は、水素サプライチェーンを構築する上で極めて重要な技術。国際的な液化水素サプライチェーンでの水素供給のコスト試算(船上引き渡しコスト)では、水素ガスの液化コストが全体の約30%と最も多い割合を占めている。そのため、一度に大量の水素を液化できる大型化および液化効率の向上は、水素の供給コストの低減に寄与する。
国内唯一の液化機メーカーとして川崎重工が開発した液化技術は、膨張タービンや膨張弁を通過した水素ガスが膨張する際に温度低下する原理を使用する。コア技術の膨張タービンには、これまでガスタービン事業やジェットエンジン事業で培ってきた回転技術や、油圧機器の流量解析技術などが活かされている。
現時点では日量5トン~25トンの水素を液化できる技術を確立しており、今回の開発を通じてこれらの技術をさらに発展させることで、商用運転規模までの水素液化機の大型化および液化の効率化を図る計画だとしている。