川崎重工は3月16日、発電出力5MW以上の大型ガスエンジンにおいて、水素を体積比30%までの割合で天然ガスと混焼して、安定した運用を実現できる燃焼技術を国内ガスエンジンメーカーとして初めて開発したと発表した。
水素は、天然ガスに比べ燃焼速度が速く、燃焼温度が高い特性から、異常燃焼や燃焼室部品の過熱などの技術課題があった。今回同社が開発した混焼技術によって、発電出力や水素混合比率に応じて燃焼状態を適正に制御できるシステムを構築し、さらにこのシステムを搭載した単気筒機による実証運転により、水素混焼時でも安定した運用が可能であることを確認した。
現在、同社は水素混焼技術を搭載した「カワサキグリーンガスエンジン」の開発を進めている。新機種は、従来型ガスエンジンをベースに水素供給系統を追加するなど、必要最小限の変更で水素混焼を可能にすることをコンセプトとしている。2011年に初受注してから180台以上の販売実績があるエンジンの信頼性を継承したまま水素エネルギーを活用することが可能で、水素を体積比30%の割合で天然ガスと混焼した場合、天然ガス専焼と比べて年間1,000トンのCO2を削減する(発電出力6,000kW、年間4,000時間運転の場合)。なお、現在稼働中の同社製ガスエンジンの改造および水素混焼モデルの市場投入時期は、2025年を予定している。