川崎重工は、技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(以下、HySTRA)向けに、世界初の液化水素荷役実証ターミナル(以下、Hytouch神戸)を納入したことを、12月3日発表した。現在、運転試験を開始し、2020年度中に実施予定のNEDO※1の助成事業※2において、豪州から日本へ液化水素を輸送する国際水素エネルギーサプライチェーンの実証試験で運用される。
※1国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
※2「水素社会構築技術開発事業:未利用褐炭由来水素大規模海上輸送サプライチェーン構築実証事業」
Hytouch神戸には、-253℃で体積を1/800にした極低温の液化水素を長期間、安定的に貯蔵する国内最大の2,500m3球形液化水素貯蔵タンク(容量2,250m3)や液化水素専用船陸間移送ローディングアームなどが設置されている。
本タンクは、内外2つ重ねたタンクの間の真空層で外気温からの熱伝導を遮る「真空二重殻断熱構造」と、最も入熱量を抑えることができる形状である球形を採用。また、タンクの構造は、駅探が1980年代にNASDA(現:JAXA)※3の種子島宇宙センターに納入した液化水素タンクの30年以上にわたる運用実績で積み重ねてきたノウハウを活かすことで、高い信頼性を有している。Hytouch神戸のタンク性能評価においても高い断熱性能や設備の健全性が確認された。
※3NASDA:宇宙開発事業団、JAXA:国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
川崎重工は、水素社会の実現に必要な水素の大量輸送技術を見据え、今回開発した液化水素貯蔵タンクの技術を活かし、さらなる大型化に向けた開発を進める予定。
同社では、持続可能な開発目標(SDGs)の観点からも水素エネルギーの普及と脱炭素化を目指し、世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献していくとしている。
■企業ブランドムービー 『水素社会篇』