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2025年2月14日【MaaS】

川崎重工、水素プラットフォームを介した取引支援実証が完了

坂上 賢治

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地熱発電所を含む水素製造サイト外観( 写真提供:株式会社大林組 )

 

川崎重工は2月14日、〝地熱由来の水素製造プラントの構築〟と〝市中への水素輸送並び車両充填に至る「つくる・はこぶ・つかう」〟の一連の水素プラットフォームを介した流通・取引実証を実施・完了させたことを明らかにした。

 

これは大分県内で、第三者認証機関のDNV( ノルウェー・オスロに本部を置く国際的な第三者認証機関・船級協会 )基準に沿い、まずは水素の製造から利用者に届けるに至るサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を正確に算定。

 

 

その上で一連の水素プラットフォームを実際に設計・構築した。今回、同社は、これら実設備からの取得データからGHG排出量を算定する手法の確認と、実数値が国際規格( ISO / TS19870:2023 )に則していることを確かめる実証試験全体を完了させた。

 

より詳細には、大林組が取り組む「大分県九重町 地熱由来水素利活用事業」を対象に、左記の水素製造サイトから市中へ輸送。次いで水素ステーションを担う江藤産業の協力を得て、FCV( 燃料電池自動車 )へ水素を供給する水素サプライチェーンの概念実証( PoC )を行ったもの。

 

移動式水素ステーションとFCV外観(写真提供:江藤産業株式会社)

 

実証試験の具体例としては、地熱発電所の電力から水素を製造し、カードル( 輸送に供するため、水素ガスを充填する集合容器 )に充填後、トラックで大分市内の水素ステーションまで輸送。その後、FCV( 燃料電池自動車 )に充填するまでの水素サプライチェーン全体のGHG排出量および水素の炭素集約度の算定方法自体が国際規格に則しているか( 水素流通の見える化 )を検証した。

 

 

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水素流通の「見える化」実現を視野に以下サービス実証を行った

– GHG排出量および炭素集約度評価および管理
– 水素の所在地や炭素集約度等の属性情報管理によるトレーサビリティの確保

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今後は同実証試験で確認した内容を基に、低炭素水素の認証支援や水素取引支援などの検討を行い、最終的には2028年頃の商用化を目指す。この際、川崎重工は水素サプライチェーン事業を活発化させ、低炭素水素の早期普及を共に進めてくれる仲間づくり行うと共に、世界全体のカーボンニュートラル実現に向けて貢献していきますと話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。