川崎重工業(以下「川崎重工」)は8月26日、100%子会社の日本水素エネルギー(以下「日本水素」)を幹事会社として、ENEOSと岩谷産業の3社が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)から公募された「グリーンイノベーション基金事業/大規模水素サプライチェーンの構築プロジェクト」に対して、「液化水素サプライチェーンの商用化実証」を提案し、採択されたと発表した。
この実証事業は、2020年12月25日に経済産業省が関係省庁と策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に示される、積極的な温暖化対策を行い産業構造や社会経済の変革をもたらし、次なる成長につなげていく「経済と環境の好循環」の一助を担うことを目指すもの。
実証事業では、カーボンニュートラルを実現する水素の大量消費社会を見据え、CO2フリー水素サプライチェーンの本格的な社会実装の取組みの一環として、年間数万トン規模の大規模な水素の液化・輸送技術を世界に先駆けて確立し、水素製造・液化・出荷・海上輸送・受入までの一貫した国際間の液化水素サプライチェーン実証を行う。
具体的には、16万m3(4万m3×4基)クラスの液化水素タンクを搭載する液化水素運搬船や5万m3クラスの陸用の液化水素タンクなど商用化(水素供給量:20万トン/年以上)の実現を見通すために必要な大型設備を川崎重工が供給し、2030年30円/Nm3の水素供給コスト(船上引き渡しコスト)の実現を目指す。なお、水素源、実証場所、輸送量を含め、本実証事業を行う上で最適な主要設備・仕様・基数などは、様々な関係者との協議を通して決定していくとしている。
日本水素と川崎重工、ENEOS、岩谷産業は、水素事業やエネルギー関連事業で各社が培ってきた技術や知見を結集し、川崎重工が将来の更なる水素供給コスト低減に向けて提案・採択された革新的液化技術開発事業の「水素液化機向け大型高効率機器の開発」や水素発電実証を実施する需要者等とも連携のうえ、日本の2050年までのカーボンニュートラル実現への貢献に向けて商用規模での国際的な液化水素サプライチェーンの構築を目指す。
■実証事業の概要
液化水素サプライチェーンの大規模実証、革新的液化技術開発
① 「液化水素サプライチェーンの商用化実証」
② 「水素液化機向け大型高効率機器の開発」