損害保険ジャパン(以下「損保ジャパン」)、SOMPOケア、ティアフォー、川崎重工業(以下「川崎重工」)の4社は12月2日、ティアフォーおよび川崎重工が開発した2種類の自動搬送ロボットを活用し、地域包括ケアシステムにおける人手を介さない物流システムの実現に向けた実証実験を、東京都墨田区および江東区エリアで2021年11月15日より実施していると発表した。
世界に先駆けて超高齢社会が到来した日本においては、高齢者に対する包括的な支援体制の構築が急務であり、住み慣れた地域において、医療・介護・介護予防・住まい・生活支援を途切れることなく受けられる社会づくりが望まれている。しかしその一方で、介護士や薬剤師の不足に加えて物資の運び手であるドライバーの人手不足もますます深刻化しており、地域包括ケアシステムの実現には物流の更なる効率化が不可欠となる。
これら社会課題の解決策として、4社は、地域包括ケアシステムにおける自動搬送ロボットの活用可能性に着目し、その社会実装の検証を目的とした実証実験に取り組んでいる。実証実験では、ティアフォー、川崎重工がそれぞれ開発した自動搬送ロボットの機体にティアフォーが開発を主導する自動運転ソフトウェア「Autoware」を搭載し、東京都内の公道において医薬品や食品、日用品などの生活必需品の配送を行う。配送対象となるのは、SOMPOケアが墨田区で運営する介護付きホーム「SOMPOケア ラヴィーレ錦糸町」の入居者ならびに近隣に居住するSOMPOケアの在宅介護サービス等の利用者。
また、実証実験では、自動搬送ロボットによる配送をより多くの人が利用する社会の実現を想定し、ティアフォーが開発した「WEB.Auto」上の運行管理システムにおいて、複数種類の自動搬送ロボットを同時制御する取組みも行っている。
なお、この実証実験は、2021年8月16日に締結した「自動搬送ロボット領域における協業に向けた実証実験の詳細検討に関する覚書」に基づいて行うもので、介護サービスを提供するSOMPOケアの業務の一部を自動搬送ロボットで代替することにより、介護領域における自動搬送ロボットの活用を目指す全国初の取組み。また、複数種類の自動搬送ロボットを同一の運行管理システム上で同時制御する取組みは極めて難度が高く、国内で初めての事例となる。
川崎重工製 走行車両(医薬品配送時に使用)
ティアフォー製 走行車両(日用品配送時に使用)
■実証実験概要
(1)実施概要
– 実施期間
2021年11月15日(月)~12月3日(金)
– 実施場所
墨田区にある「SOMPOケア ラヴィーレ錦糸町」周辺の公道 片道約 1km(最長)
– 実証内容
川崎重工およびティアフォーがそれぞれ開発した自動搬送ロボットの機体を、ティアフォーの自動運転ソフトウェアおよび運行管理システムで同時制御する近接型自動走行実証
– 実証目的
・地域包括ケアシステムにおける自動搬送ロボットの活用可能性に関するニーズ検証
・東京都内の公道における複数種類同時制御の技術検証
(2)各社の役割
– 損保ジャパン
・実証実験計画の策定
・自動搬送ロボット運行にかかるリスクアセスメント
・自動搬送ロボット向け保険の提供
– SOMPOケア
・実証実験フィールドの提供
・実証実験におけるご利用者さまとの各種調整
・介護士の協力体制構築
– ティアフォー
・オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を活用した自動搬送ロボットの開発・提供
・自動搬送ロボットを運行するために必要な運行管理システムなどの開発・提供
・自動搬送ロボットの自動走行オペレーションの遂行
・実証実験に係る高精度3次元地図の開発委託と提供
– 川崎重工
・自動搬送ロボットの開発・提供
・自動搬送ロボットの公道走行許認可取得に必要なハードの設計・改造
・自動搬送ロボットのハードの改修・点検整備対応