川崎重工は12月3日、液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」の船級を、一般財団法人日本海事協会より取得したことを発表した。
「すいそ ふろんてぃあ」は、川崎重工が建造した世界初の液化水素運搬船。気体の水素をマイナス253°Cに冷却して体積を1/800に縮小した液化水素を、同社の断熱技術によって高い保温性能を実現した液化水素用タンクを積載し、一度に75トンの液化水素を運搬することができる。
一方、水素の特性を考慮した安全対策が必要なため、日本海事協会が国際海事機関の暫定勧告に基づき策定した、安全に水素を海上輸送するための要件や同協会の規則に則り、構造、機関、艤装品、材料などの検査を受け、12月3日に船級登録された。
燃焼時にCO2を排出しないクリーンエネルギーである水素は、発電や自動車、二輪車、船舶、航空機などの燃料として世界的に利用拡大が見込まれており、水素社会の実現に向けたサプライチェーン構築への取り組みが各国で進められている。
今後は、川崎重工が参画するHySTRA(技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構)として、国際的な液化水素の大規模海上輸送実証試験開始に向け、日豪関係省庁および関係企業と詳細スケジュールの調整をしていくとしている。
■HySTRA
技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構。褐炭を有効利用した水素製造、輸送・貯蔵、利用からなるCO2フリー水素サプライチェーンの構築を行い、2030年頃の商用化を目指した、技術確立と実証に取り組む企業団体。
<組合員>
岩谷産業株式会社/川崎重工業株式会社/シェルジャパン株式会社/電源開発株式会社/丸紅株式会社/ENEOS株式会社/川崎汽船株式会社