交換した使用済み電池はこの電池ステーションで格納した後に充電され、常にフル充電の電池がストックされるという仕組み。このため一日の走行距離(走行条件にもよるが約60kmの走行が目安)を確保しながら、効率的なごみ収集作業が可能となっている。
また、走行中・作業中のCO2やNOxの排出がないことや、静かな走行性能等の他、災害時の非常用電源としても活用できるメリットもある。そもそも何よりのポイントは先の通りでゴミ収集車の走行・回収作業電力を回収地域から回収したゴミを元にゴミ処理場(川崎市浮島の処理センターで来年の2月から稼働予定)で燃やしたエネルギーで造れることにある。
なお上記のゴミ処理場の稼働地域では、1日あたり約600トンのゴミを収集している。ここから取り出す電気エネルギーは同ゴミ処理施設と共に稼働する全て(140台)のゴミ収集車の電源を確保することが可能だという。
同市では、車両1台あたりおよそ5900万円を筆頭とする今システム導入に際し、まずは南部生活環境事業所(川崎市川崎区塩浜4-11-9)に2台のEVごみ収集車と浮島処理センター(川崎市川崎区浮島町509-1)に電池ステーション1基を配属する予定だ。
車両価格はなかなかのコスト投下となるが、既存のゴミ収集車に比べ燃料となる軽油ベースで考えると約4分の1から5分の1に収まる可能性(市場の燃料の実勢価格ならび運用時の車両の使い方で変動する)があることから、長い目で見た場合はランニングコストで有益な面もありそうだ。また車両価格についてはいずれ普及が進むことで廉価になっていく可能性がある。
加えて予め蓄電した電池を電池ステーションから受け取ることが可能であるため、地域の災害時には電力量はある程度限られているものの非常用電源車としての運用も可能だ。ちなみに車両搭載の電池ひとつで5000台のスマートフォンの電源としても利用できるという。さらに先の通りだが通常のゴミ収集車の稼働時に比べ走行音が低く、ゴミ収集回収時の騒音も既存車両と比較すれば、低く抑えられる点も魅力のひとつになるだろう。
今回、川崎市にシステムを行ったJFEエンジニアリングによると、既に川崎市だけでなく他の自治体からも注目が集まっており、今後、他の自治体においても同システム普及の可能性があるとしている。