NEXT MOBILITY

MENU

2018年9月18日【テクノロジー】

川崎市、日本初の電池交換型EVごみ収集車を実用化決定

NEXT MOBILITY編集部

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

交換した使用済み電池はこの電池ステーションで格納した後に充電され、常にフル充電の電池がストックされるという仕組み。このため一日の走行距離(走行条件にもよるが約60kmの走行が目安)を確保しながら、効率的なごみ収集作業が可能となっている。

 

 

 また、走行中・作業中のCO2やNOxの排出がないことや、静かな走行性能等の他、災害時の非常用電源としても活用できるメリットもある。そもそも何よりのポイントは先の通りでゴミ収集車の走行・回収作業電力を回収地域から回収したゴミを元にゴミ処理場(川崎市浮島の処理センターで来年の2月から稼働予定)で燃やしたエネルギーで造れることにある。

 

なお上記のゴミ処理場の稼働地域では、1日あたり約600トンのゴミを収集している。ここから取り出す電気エネルギーは同ゴミ処理施設と共に稼働する全て(140台)のゴミ収集車の電源を確保することが可能だという。

 

 

 同市では、車両1台あたりおよそ5900万円を筆頭とする今システム導入に際し、まずは南部生活環境事業所(川崎市川崎区塩浜4-11-9)に2台のEVごみ収集車と浮島処理センター(川崎市川崎区浮島町509-1)に電池ステーション1基を配属する予定だ。

 

車両価格はなかなかのコスト投下となるが、既存のゴミ収集車に比べ燃料となる軽油ベースで考えると約4分の1から5分の1に収まる可能性(市場の燃料の実勢価格ならび運用時の車両の使い方で変動する)があることから、長い目で見た場合はランニングコストで有益な面もありそうだ。また車両価格についてはいずれ普及が進むことで廉価になっていく可能性がある。

 

 加えて予め蓄電した電池を電池ステーションから受け取ることが可能であるため、地域の災害時には電力量はある程度限られているものの非常用電源車としての運用も可能だ。ちなみに車両搭載の電池ひとつで5000台のスマートフォンの電源としても利用できるという。さらに先の通りだが通常のゴミ収集車の稼働時に比べ走行音が低く、ゴミ収集回収時の騒音も既存車両と比較すれば、低く抑えられる点も魅力のひとつになるだろう。

 

今回、川崎市にシステムを行ったJFEエンジニアリングによると、既に川崎市だけでなく他の自治体からも注目が集まっており、今後、他の自治体においても同システム普及の可能性があるとしている。

 

同記事のトップページに戻る

1 2
CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。