TOYOTA GAZOO Racing(以下「TGR」)は6月28日、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第6戦「サファリ・ラリー・ケニア」で、WRC自己最高順位となる総合2位でフィニッシュしたことを発表した。
サファリ・ラリーは、6月24日(木)から27日(日)にかけてアフリカのケニアで開催された。勝田は、コ・ドライバーのダニエル・バリットと共にヤリスWRCで参戦。一時は首位に立つなど優勝争いに加わり、総合2位でフィニッシュ。WRCの表彰台に初めて上った。
2002年大会以来、19年ぶりにWRCのカレンダーに復帰したサファリ・ラリーは、ケニアの首都ナイロビの北側約100kmにある、ナイバシャ湖の近くにサービスパークが置かれ、そこを中心に広大なサバンナや森林地帯のグラベル(未舗装路)ステージで競技が行なわれた。ステージは、長い高速区間と非常にテクニカルかつラフなセクションが組み合わされており、アフリカの地を初めて踏んだ最新のワールドラリーカーと、サファリを初めて走るトップ選手たちに、過酷な試練となった。
ラリーは序盤から荒れ模様となり、金曜日のデイ2では多くの選手がトラブルやアクシデントに遭遇。しかし、勝田とバリットはスピードと安定性のバランスを上手くとることで大きなトラブルを回避し、好調なペースを維持した。最終日となった日曜日のデイ4では、首位のリタイアにより、WRCに参戦を開始してから初めて総合1位に。その後、勝田とオジエは総合タイムで並ぶなど優勝をかけた大接戦を展開。勝田はオジエに次ぐ総合2位でラリーをフィニッシュし、初めての表彰台を、総合2位という好結果で獲得した。
WRCとして開催されたサファリ・ラリーで、日本人が表彰台に立ったのは1994年大会の篠塚建次郎選手以来27年ぶり。また、1995年には藤本吉郎選手がWRCタイトルのかからないサファリ・ラリーでセリカ・ターボ4WDをドライブして優勝している。TGRは、世界王者たちと互角に戦って獲得した勝田のWRC総合2位もまた、日本のラリーの歴史に残るべきリザルトだとしている。
なお、勝田は今シーズン開幕から3戦連続で総合6位に入り、その後の2戦は総合4位、そして今回は総合2位と、確実に結果を残している。2021年、開幕から総合6位以内に入り続けているドライバーは勝田だけであり、着実にポイントを積み重ねてきた結果、ドライバー選手権では現在5位につけている。
勝田貴元
表彰台に立つことができて、とても嬉しいです。今週末は本当に長く、いろいろなことが起こりました。誰もが問題をいくつか抱えていましたが、僕たちは何とか切り抜け、この順位でフィニッシュすることができました。今回の結果には満足しています。このラリーはかなり特殊ですし、トップレベルの選手はみな経験豊富なので、サファリで表彰台に上れるとは思っていませんでした。もっと厳しい週末になると予想していたので、本当に嬉しいです。とはいえ、まだまだ改善できると思いますし、将来的にはセブと競って勝てるようになりたいです。もしWRCチャレンジプログラムがなかったら、自分はここにいないと思います。ゼロに近い状態から成長を支え続けてくれたトヨタ自動車、チームオーナーの豊田章男社長、そしてチームの皆さん全員に心から感謝しています。
ヤリ-マティ・ラトバラ(チーム代表)
サファリ・ラリー・ケニアでタカが総合2位に入り、WRCで初めて表彰台を獲得したのは本当に素晴らしいことです。これは、TOYOTA GAZOO RacingによるWRCチャレンジプログラムが、実を結んだことを意味します。最近のタカの成長はとても印象的でした。今回は大きなミスもなく、最終日のセバスチャンとのバトルも含めて、全てを上手くこなしていました。彼はこの総合2位という結果に値する戦いをしたと思いますし、私も本当に嬉しく思います。
Result
1 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア(トヨタ ヤリス WRC) 3h18m11.3s
2 勝田 貴元/ダニエル・バリット(トヨタ ヤリス WRC) +21.8s
3 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ(ヒュンダイ i20クーペ WRC) +1m09.5s
4 ガス・グリーンスミス/クリス・パターソン(フォード フィエスタ WRC) +1m54.6s
5 アドリアン・フォルモ−/ルノウ・ジャムール(フォード フィエスタ WRC) +1m54.7s