TOYOTA GAZOO Racing(以下「TGR」)は5月24日、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦ラリー・ポルトガルで、WRC自己最高順位となる総合4位で完走したと発表した。
WRC第4戦ラリー・ポルトガルは、5月20日(木)から23日(日)にかけてポルトガル北部のマトジニョスを中心に開催された。勝田貴元は、コ・ドライバーのダニエル・バリットと共にヤリスWRCで参戦。WRC自己最高順位となる総合4位で完走し、開幕から4戦連続でポイントを獲得。ドライバー選手権ランキング6位に順位を上げた。
2021年シーズン最初のグラベル(未舗装路)イベントとなったポルトガルに、勝田は過去3回出場しているが、トップカテゴリーのWRカーによる出場は今回が初めてであった。また、今シーズンから全マニュファクチャラーに供給される、ピレリのグラベル用タイヤを履いてのラリーも今回が初めてだったため、路面に合ったコンパウンドのタイヤを選び、いかにタイヤマネジメントするかが大きなポイントになった。
ポルトガルのステージは粒子の細かい砂状のグラベルに覆われている路面が多く、その下には硬質な岩盤や石が隠れており、何台かのマシンが走った後や、同じステージを2回目に走行する際は、岩や石が下から現れトリッキーなコンディションとなる。TGRによると、勝田は開幕から3戦連続で総合6位に入り、前戦のクロアチア・ラリーではベストタイムを2回記録するなど、スピードと安定性の両面で長足の進歩を遂げてきた。
そして今回のポルトガルでは、初日のデイ1で3回のトップ4タイムを記録。一時はヤリスWRC勢最上位となる、総合4位まで浮上した。土曜日のデイ2も勝田は好調を維持。チームメイトである7度の世界王者、セバスチャン・オジエと何度も順位を入れ替えるなど、表彰台も狙える位置で戦いを展開し、オジエと僅か1.5秒差の総合4位に。最終日の日曜日は完走して経験を積むことを優先し、順位を落とすことなく最後まで走りきり、WRCキャリア自己最高順位となる、総合4位でラリーをフィニッシュした。
なお、勝田の次戦は、6月3日から6日にかけてイタリアのサルディニア島で開催される、第5戦「ラリー・イタリア サルディニア」。このグラベルラリーのステージは全体的に高速で道幅は狭く、道の表面は砂状のグラベルに覆われているが、クルマが何台か走行すると下から石や岩盤が現れ、深い轍(わだち)も刻まれる。また、この時期は例年気温が上がることが多く、ドライバーとクルマにとって非常に厳しいラリーとなる。
勝田貴元
この週末はいい戦いができたと思います。難しいラリーで、どのステージも非常にトリッキーでした。土曜日の夜に1度だけ危ない場面がありましたが、大きな問題はなく乗り切ることができましたし、チームはいつものように素晴らしい仕事でクルマを直してくれました。今回は、決して楽な週末ではなかったですし、特に最終日は自分にとって厳しいものでしたが、それでもキャリア最高の結果で走り終えることができました。また、トップドライバーたちと一緒に戦えたことも嬉しく思います。以前と比べれば確実に一歩前進したと思いますが、まだまだ改善すべきことは多いので、正しい方向に進み続けるために、これからも努力し続けます。
ユホ・ハンニネン(インストラクター)
今回タカがとても素晴らしい戦いをしてくれたことを、本当に嬉しく思います。今年、彼は急速に成長していますが、その姿を見るのは素晴らしいことです。これまでのラリーでも彼は良い結果を残し、安定したタイムを記録してきましたが、今回はさらに大きく前進したと思います。全ステージでミスをすることなく安定して速く走り続け、土曜日は1日を通してセバスチャン(オジエ)と戦いましたが、その姿を見て私はとても嬉しくなりました。今回、タカはとてもリラックスしていて、ドライビングを楽しみ、クルマのセットアップをあまり変えることなく、ひたすら運転に集中していました。また、今年の開幕戦からの好成績も自信につながり、スピードと安定性の両方が底上げされていきました。そして今回、表彰台争いに加わり、総合4位でフィニッシュしたことで、彼が前途有望であると改めて確信しました。
Result
1 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ ヤリス WRC) 3h38m26.2s
2 ダニ・ソルド/ボルハ・ロザダ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +28.3s
3 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (トヨタ ヤリス WRC) +1m23.6s
4 勝田 貴元/ダニエル・バリット (トヨタ ヤリス WRC) +2m28.4s
5 ガス・グリーンスミス/クリス・パターソン (フォード フィエスタ WRC) +4m52.7s