近年、物流業界では、トラックドライバー不足による輸送能力の低下が懸念されており、物流業務の効率化・自動化の必要性はますます高まっている。そうしたなかで花王とキリンビバレッジは、各々に販売・購入・利用ニーズが異なる商品輸送をジャストインタイム(JIT)で送り届けることで、環境負担が少なく、循環型社会に貢献できる理想の物流を目指している。
そうしたなかで両社は、今年2月より、相互の物流拠点間を結びつけたループ状の輸送経路をなぞることで、輸送の効率化とCO2排出量削減の両立を目指す取り組みを開始した。
この協業輸送のベースは、花王の川崎物流センター(神奈川県)から更埴物流センター(長野県)間。そしてキリンビバレッジ傘下の信州ビバレッジの工場(長野県)からキリンビバレッジの川崎物流センター(神奈川県)間の輸送ルートを、まずはループ状に結ぶことから始まる。
そしてこのループ内で「積み込みから荷下ろし」、再度「積み込みと荷下ろし」を繰り返すことで空車区間を極力削減しつつ、段階的に配送量を増やしていくというもの。
今回の協業のポイントは、(1)荷主として輸送実績データを保有し利活用できること。(2)戻り便で積載できる物量が確保できること。(3)繋げられる輸送区間が存在することだという。
そして両社の片道輸送を一筆書きのように繋げることで、トラック台数(年間延べ300台以上)および、CO2排出量の削減(該当区間において約15%減)に寄与させる。また今後は共同輸送区間の拡充も検討していく他、国内に10カ所ある生産工場から物流拠点への輸送。更には小売店への配送も自社で担い、安定的でスピーディーな物流を実現したいとしている。
更には、より大きく変化する物流環境の動きに迅速に対応するため、業界を越えたパートナーとの共創も模索。持続可能な物流に向けた取り組みを進めていきたい考えであると結んでいる。