関東運輸局は12月22日、コロナ禍において厳しさを増すバス・タクシーの経営環境を受け、業界の行う感染予防対策を公開。コロナ時代に対応した『新たな移動空間』としての利用を呼びかけた。
コロナ禍においてバス・タクシーの経営環境は未だ回復が見通せていない。国や地方公共団体等も、公共交通機関が直面する現下の窮状を打破するため、補助等の支援を実施しているが厳しい財政事情の中、それには限界がある。
公共交通機関は、“あって当たり前”ではなく、乗客がいることで初めて成立する。将来にわたって国民一人ひとりの生き生きとした社会生活を確保するために、地域の貴重な公共交通機関を社会全体で支えていくことが重要だ。
関東運輸局は、利用者へマスクの着用などの必要な感染予防対策を講じたうえでの、気軽なバス・タクシーの利用を促している。
1.バス・タクシーが直面する厳しい経営環境
バス・タクシーなどの自動車交通は、通勤・通学・レジャー時の移動手段、高齢者や身体の不自由な人の移動手段、更には、昨今頻発する台風等により鉄道が運休した場合の代替輸送手段として、まさに国民生活や経済活動の根幹を支える大変重要な役割を果たしている。
しかし、折からのモータリゼーションの進展や人口減少等の影響で輸送人員が減少し、ただでさえその維持が大変であったが、更に今回の新型コロナウイルスが追い打ちとなり、
現在、バス・タクシーは極めて厳しい経営環境に立たされている。
<主な特徴>
・4~5月を底に回復基調にあるが、直近では一進一退を繰り返し、現状、完全な回復は見通せていない。
・特に貸切バスの減少幅は壊滅的。
(2020年11月は、学校行事の再開等により一時的な需要の回復傾向が見られるが、地域差が大きい)
バス・タクシーは、いわゆるエッセンシャルサービスとして、新型コロナウイルス禍においても最低限の業務を継続し、社会の安定維持を支えてきたが、厳しい経営環境の中で、
事業継続が困難となり、廃業を選択せざるを得ない事業者も既に出始め、今後、こうした傾向に一層拍車がかかることが懸念される。
2.バス・タクシーにおける感染予防対策
~従来からの対策に加え、コロナ時代に対応した『新たな移動空間』の追求を進める~
バス・タクシー業界では、それぞれ『新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン』を策定し、乗務員の検温・マスク着用・手指消毒など、基本的な感染予防対策を徹底しているという。
また、バス・タクシー車両自体が有する高い換気性能に加え、コロナ時代に対応した『新たな移動空間』の追求を進めている(下記参照)。マスクの着用や会話機会の低減など利用者からの協力も仰ぎ、感染予防の徹底、安全運行に万全を期す。
≪バスの取組事例・車両の換気性能≫
≪タクシーの取組事例・車両の換気性能≫
・都内における『ニューノーマルタクシー※』の試験運行開始(令和2年10月~)
※高効率空気清浄機は超高性能フィルター(N100)を有し、タクシー車内の微粒子を低減。空気清浄モニターは車内の空気清浄状況をセンサーによりモニタリングし、結果をタブレットに表示。車内空間の「見える化」を実現。
※こうした移動空間を有する『ニューノーマルタクシー』は、2021年春を目処に本格導入予定。
(参考:東京ハイヤー・タクシー協会 HP http://www.taxi-tokyo.or.jp/pdf/info20201012.pdf )
・タクシーの換気性能、飛沫拡散シミュレーション(スーパーコンピューター“富岳”による検証)
https://www.r-ccs.riken.jp/jp/fugaku/corona/projects/tsubokura.html
なお、国土交通省では、令和2年度第3次補正予算の成立を前提に、光触媒等による車内抗菌施工や高機能フィルタを用いた空気清浄機など革新的な機器の導入等に要する費用の一部を支援を予定している。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001378258.pdf