AI車掌「萩音士 清平(しゅうおんじ きよひら)」
エンタメ系デザイン集団のTRIBALCON.(トリバルコン/東京都渋谷区)は3月28日、北海道・上士幌町(かみしほろちょう)の自動運転バスに導入されるAI車掌「萩音士 清平(しゅうおんじ きよひら)」のサービス設計、キャラクター企画開発を担った。トリバルコン調べによると自動運転バスにAI車掌が導入されるのは全国の自治体で初という。
このAI車掌を設ける切っ掛けとなったのは、上士幌町に於いて自動運転レベル4の無人走行が可能となった際、これまで煩雑に行われてきた車内コミュニケーションの低下を危惧したことにある。
そこで、これを受けて法人の好感度UPに取り組むスパイスボックス(本社:東京都港区)が上士幌町へ対話型AIキャラクターの導入を提案。より具体的には、先のトリバルコンがキャラクター企画立案を担当。更に音声認識のアドバンスト・メディア(本社:東京都豊島区)がAI音声対話アバターシステム「AI Avatar AOI(エーアイ アバター アオイ)」を提供。3社でAI車掌「萩音士 清平」を開発・提供した。
なおAI車掌のキャラクター設計では、上士幌町役場の職員とのリサーチとディスカッションを経て、「バス利用者の情報」「上士幌町の特徴」を調査。AI車掌「萩音士 清平」独自の世界観をビジュアル化した。
キャラクターへ命を吹き込むボイスやモーションについても、ボイス収録・Live2D制作などキャラクターに関わる全般を監修し、バス利用者が話し掛け易いオリジナルキャラクターを目指した。
その結果、AI車掌は「GPS機能を利用したバス停案内」や「上士幌町のおすすめ情報を音声対話機能で提案」する他、AI車掌の表示画面をタップするだけでユーモアを交えた自動会話にも対応するという。
その他、AI車掌に搭載した機能は以下の通り
1.バス停留所の周辺情報案内
GPS機能と連携し、バス停留所やその周辺情報の自動音声案内を行う。これはバス停留所の位置情報を設定することで、次に停車するバス停留所の情報や定期おすすめ情報、町のイベント情報、有料広告枠の情報を音声で案内するもの。音声案内のタイミングはGPSによる位置指定、または時間で設定可能としている。
2.AI音声対話
バス停留所の周辺情報案内に加え、AI車掌と自由に会話を楽しむことができる。キャラクターやユーザーに関連する情報をインプットし、不適切な会話を回避するよう設定したキャラクタードキュメントと、制御されたChatGPTのデータベースから、AIが適切な返答を選択することで、より正確性の高い適切な回答を実現できるようにした。
3.AIスペシャル機能
バス利用者に親近感を持ってもらうために、AI車掌によるワンフレーズ歌の歌唱や、上士幌町にちなんだ早口言葉、じゃんけんなど、特別なコミュニケーション機能を用意した。
自動運転バスの運行内容や仕様については以下の通り
定員:11名(乗務員除く)
運行速度:最大20km/h未満
運行日 :【道の駅循環線】月曜、木曜、土曜
【西団地・北団地循環線】月曜、木曜
全ての曜日・運行ルートで、2024年4月1日(月)よりAI車掌を搭載。
少子高齢化によって生じる公共交通機関の課題にICTを活用して対応するための手段として、2017年に北海道初となる自動運転バスの公道走行実証を皮切りに、段階的に実証実験を実施。2022年12月より自動運転レベル2による定期運行を開始し、2024年度中に一部区間での自動運転レベル4の実現を目指す。
以下は参画法人の各概要となる
上士幌町
北海道十勝地方の北部に位置し、人口は約5,000人、面積は東京23区より広い約700平方kmを抱え、その76%を森林が占める緑豊かな町。また、日本で初めて熱気球の大会が開かれた「熱気球のまち」としても知られている。
近年では全国トップレベルの酪農業を軸に、バイオガス発電とエネルギーの地産地消、自動運転バスやドローン配送の実装などICT技術を活用した持続可能な取組が評価され、第4回SDGsアワードで内閣官房長官賞を受賞した。
「かみしほろシェアOFFICE」「企業滞在型交流施設/にっぽうの家」を起点としたテレワーク・ワーケーションの受入を通じ、関係人口の創出にも取組んでいる。
株式会社TRIBALCON.
エンターテインメント業界のグラフィックデザインを中心に活動するクリエイティブチームBALCOLONY.のグループ会社として2015年に設立。エンターテインメント事業に関わってきた経験と実績を活かし、作品ファンの方々と良質なコミュニケーションを取るために、クリエイティブ領域で力を発揮する。
株式会社スパイスボックス
企業やブランドへの好意、共感醸成を支援する、コミュニケーション・カンパニー。2003年、日本初のデジタルエージェンシーとして創業。さまざまな企業のブランディング支援を手掛けている。
スマートフォン、ソーシャルメディアが一般化して以降は、“生活者”に共感を呼ぶ「エンゲージメントコミュニケーション」施策の設計、提供を強みとし、様々なクリエイターやアナリストと共に、調査からコンテンツ企画、制作、発信までを一気通貫でサポートしていく。
株式会社アドバンスト・メディア
1997年に設立。Interactive Systems, Inc.(米国)と日本語音声認識AmiVoiceを共同で開発し事業化。2005年には、音声認識専業の企業として初の東京証券取引所マザーズ市場(現:グロース市場)に上場し、音声認識事業で日本で初めて通年ベースで黒字化を達成した。AI音声認識AmiVoiceを主軸にした事業では、会議、医療、コンタクトセンター、建設・不動産、物流・製造などの領域特化型エンジンとして、幅広いシーンで活用されている。