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2022年11月30日【テクノロジー】

北海道上士幌町が自動運転バスの定常運行を開始

NEXT MOBILITY編集部

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北海道の上士幌町(かみしほろちょう)で、フランスNavya社製の自動運転バス「ナビヤ アルマ( NAVYAARMA )」の定常運行が、ソフトバンク傘下のボードリー( BOLDLY )の協力の下、12月1日から開始される。なお、道内での自動運転バスの定常運行は初だと云う( 2022年11月22日時点のボードリー調べ )。

 

定常運行は、フェーズ1として12月から自動運転レベル2での定常運行を開始。2023年度中(予定)にはフェーズ2の自動運転レベル4( 移行当初は信号がある交差点に於いてレベル2で運行 )での運行へ移行して、日本初となる市街地でのレベル4の自動運転サービスの実用化を目指す。

BOLDLY・ロゴ

ちなみにこの試みは、人口減少などを背景に当地に於いて既存の公共交通の維持が難しくなる中、誰もが利用できる定時・定路線の町内循環バスとして自動運転バスを運行する事が目的のひとつだ。

 

上士幌町では、同運行開始に伴い住民の外出機会を創出し、地域活性化や健康増進に繋げていきたいとの考えだ。従って持続可能な公共交通の実現に向けた取り組みを進めてきた上士幌町に於いては今後、自動運転バスの定常運行があたりまえになる日常を視野に据える。

 

 

より具体的には上士幌町に於いては、未来に向けて町役場から半径1km以内に主要な施設や住宅が集約したコンパクトな町づくりを目指している。

 

これに加え上士幌町は、道路の幅も広く、町内に十分な駐車場がある事。更に路上駐車が比較的少ないなど自動運転バスの走行に適した環境にある。

 

そこでこれまで自動運転バスの実証をボードリーらと4回実施。昨年12月に行われた実証実験 では、必要な対策を行うことで雪や氷点下の環境でも安全に運行出来る事が確認されたと云う。

 

 

今回12月1日から始まった定常運行では、フェーズ1として当面の間、町役場や病院、道の駅、交通ターミナル等の主要施設を結ぶ1周約3.5キロメートルのルートで、自動運転バスを1日4便を運行した( 2022年12月は木曜日および土曜日のみ。なえお2023年1月以降は月曜日、木曜日、土曜日、日曜日および祝日に運行する。これは既存のコミュニティバスを補完して、住民の日常的な移動手段を確保するためでもある )。

 

運行体制に於いては、既存のコミュニティバスを運営する地域の交通事業者が自動運転バスの運行業務を担う考えだ( 当初はボードリーが運行業務を実行。今後、準備ができ次第、地域の交通事業者へ移管していく予定 )。

 

またボードリーが独自開発した運行管理プラットフォーム「ディスパッチャー( Dispatcher )」を使って、バス送迎サービス・車両の運行管理を行うセネック社が、茨城県境町に置いている遠隔監視センターから自動運転バスを遠隔監視する体制を敷く構え( 今後のフェーズ2の体制に関しては、フェーズ1での実績・実証を踏まえて、関係各社と議論を重ねて最適な体制を検討・決定していく予定 )。

 

その段階に於いてボードリーは、自動運転バスの運行管理やメンテナンスなどの主要業務を地域の交通事業者が行えるよう支援。将来的には地域の交通事業者と連係しつつ、ボードリーとセネックと共に最適な運行体制を構築していく方針だ。

 

 

なお定常運行に向け、11月に実施した運行ルート上での試験走行では、信号がある交差点を除いた区間に於いて車内のオペレーターがコントローラーを一切操作しない「無介入」での自動走行を達成した。

 

なおこの歳の「達成」については、運行路で路上駐車が無い2022年11月21~23日の実績に於いて、バス停からの発車時に行う車内のタッチパネルの「発車」ボタンの押下のみでルートを1周できた場合を「無介入」と定義している。

 

これを踏まえてボードリー側は、レベル4の自動運転サービスの早期実用化が期待出来る段階にあるとしている。

 

バス停での発車時に行う、車内のタッチパネルの「発車」ボタンの押下のみ(A)でルートを1周できた場合を「無介入」と定義。Aのみでの運行は、コントローラーの操作(B)と比較して、業務の難易度を低下させ、大幅な負荷軽減となることから、フェーズ2の自動運転レベル4での運行の際、地域交通事業者が運行業務に携わる人材を募集しやすくなる。 バス停での発車時に行う、車内のタッチパネルの「発車」ボタンの押下のみ(A)でルートを1周できた場合を「無介入」と定義。Aのみでの運行は、コントローラーの操作(B)と比較して、業務の難易度を低下させ、大幅な負荷軽減となることから、フェーズ2の自動運転レベル4での運行の際、地域交通事業者が運行業務に携わる人材を募集しやすくなる。

 

上士幌町とボードリーは、今後、住民のニーズを踏まえて自動運転バスの停留所の数やルートを順次拡大し、日本で最も高密度な公共交通の構築を目指すと共に、住民の移動手段を確保することで、運転免許の自主返納者を含めて誰もが生き生きと住み続けられる地域の実現に向けて取り組んでいく。

 

【自動運転のレベル分け】
レベル0:名称は“運転自動化なし”、運転主体は“人”、走行領域は“適用外”。
レベル1:名称は“運転支援”、運転主体は“人”、走行領域は“限定的”。
レベル2:名称は“部分運転自動化”、運転主体は“人”、走行領域は“限定的”。
レベル3:名称は“条件付運転自動化”、運転主体は“システム”、走行領域は“限定的”。
レベル4:名称は“高度運転自動化”、運転主体は“システム”、走行領域は“限定的”。
レベル5:名称は“完全運転自動化”、運転主体は“システム”、走行領域は“限定なし”。 【自動運転のレベル分け】 レベル0:名称は“運転自動化なし”、運転主体は“人”、走行領域は“適用外”。 レベル1:名称は“運転支援”、運転主体は“人”、走行領域は“限定的”。 レベル2:名称は“部分運転自動化”、運転主体は“人”、走行領域は“限定的”。 レベル3:名称は“条件付運転自動化”、運転主体は“システム”、走行領域は“限定的”。 レベル4:名称は“高度運転自動化”、運転主体は“システム”、走行領域は“限定的”。 レベル5:名称は“完全運転自動化”、運転主体は“システム”、走行領域は“限定なし”。

 

 

[問い合わせ]

上士幌町では、自動運転バスを活用した視察ツアーと車体広告を企画予定。フォーム<https://forms.gle/vXR9W7EinuG6QPfK6 >から問い合わせすると、募集開始の際、優先的に案内が送られる。

 

(1)視察ツアーについて

SDGs(持続可能な開発目標)に関する社員研修を行いたい企業などを対象に、持続可能なまちづくりや地方創生の成功事例を体験できる視察ツアーを実施予定。

 

(2)車体広告、スポンサーについて

上士幌町および周辺の企業、交通関連企業、技術系企業、SDGs に関心のある企業などを対象に、自動運転バスの車両に掲出する企業ロゴや商品名などの広告を企画予定。その他、スポンサーや企業コラボレーションなども随時企画。

 

 

■(上士幌町)自動運転バス定期運行:https://www.kamishihoro.jp/sp/self_driving_bus
■ボードリー:https://www.softbank.jp/drive/
■セネック:https://www.cenec.co.jp/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。