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2018年6月11日【テクノロジー】

鹿島、高精度測位技術活用の埋設物検知システム開発

NEXT MOBILITY編集部

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鹿島は、ウィンクスと共同で、小型タブレット端末を活用して既存埋設物を正確に把握し、検知するシステムを開発した。

 

このシステムは、高精度測位機能をもつパナソニック製のタブレット端末「TOUGHPAD」(タフパッド)に、自らの位置と予め入力した埋設物の位置とを地図情報とともに表示するもので、埋設物に近づくと光と音で警告。タブレット端末を重機の運転席に設置することで、掘削作業中のヒューマンエラーによる埋設物の破損事故を防止すると云う。

 

また同社は、このシステムの適用実験を、青森県つがる市のウィンドファームつがる建設工事の掘削作業で、実施。良好な結果を得たとしている。

[開発の背景]

 

重機で掘削作業を行う際、既設水道管などの埋設物を防護するため、綿密な確認や誘導のもと作業が行われるが、夜間や積雪時など、目印が見えにくい状況での作業や、また重機の位置を勘違いするといったヒューマンエラーにより、埋設物を破損してしまう事例が発生する。

 

近年、スマートフォンなどの小型端末で、GNSS測位が可能なデバイスが普及しているが、測位誤差が数mから場合によっては数十m発生するため、このような作業の誘導に活用するには課題があったと云う。

 

今回、高精度測位技術のひとつであるVRS(Virtual Reference Station:仮想基準点)方式のRTK-GNSS測位(※)機能をもつタブレット端末を用い、自らの位置と埋設物の位置とを高精度に把握し、検知するシステムを開発。土木現場での適用実験を経て、その実用性を確認したとのことだ。

 

※RTK-GNSS測位:GNSSと基準局の電波を同時に送受信することで、計測地点を高精度かつリアルタイムに算出する

 

[システムの概要と特長]

 

重機の操縦席に設置されたタブレット端末には、地図上に、VRS方式の測位機能による誤差10cmレベルの自らの位置を表示。地図にはあらかじめ、埋設物の名称や種類、埋設深さなどの情報が入力されており、作業中に重機周辺の埋設物の詳細な情報が画面上に図示される。

 

重機のオペレータは、この画面を見ながら操作することで、埋設物の位置を把握しながらの、安全・確実な作業が可能に。また、重機が埋設物に必要以上に近づくと、LED警告灯が音と光で警告、万が一の見落としなどによる破損事故を防止する。

 

また、使用したタブレット端末は、測量に用いる従来型のRTK-GNSSの装置に比べ小型、軽量で可搬性が高く、狭い重機の運転席にも設置が容易。汎用性の高いOSのため、既存のアプリケーションとの連携がしやすいという利点もあるとのことだ。

 

作業中のタブレット端末の画面

作業中のタブレット端末の画面

 

[現場での適用実験]

 

青森県つがる市で施工中のウィンドファームつがる建設工事の、送電線埋設のための連続した掘削作業で、同システムの適用実験を実施。トレンチャーと呼ばれる特殊な掘削重機を使用した施工区間の9割以上で、システムは十分にその機能を発揮し、冬期間で積雪状況下での掘削作業を安全・確実に完了したとしている。

 

トレンチャーによる積雪状況下の掘削作業

トレンチャーによる積雪状況下の掘削作業

 

鹿島は今後、同システムを他の重機作業にも適用して実績を蓄積するとともに、支障物や埋設物の多い都市土木工事などへの適用も視野に入れ、さらなる改良を進める。

 

また、正確な測位情報は土木工事における自動化施工技術に必要不可欠であり、本システムを活用した自動化施工の技術開発を加速していくとしている。

 

[工事概要]

 

工事名:ウィンドファームつがる建設工事
発注者:グリーンパワーつがる合同会社
工事場所:青森県つがる市
工期:2017年8月~2020年5月
施工者:鹿島建設株式会社



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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。