西日本旅客鉄道(JR西日本)は4月11日、新型コロナウィルスの感染拡大による影響等、昨今の環境変化と共に利用者が大きく減少しているローカル線・各線区の経営状況に関して、情報開示を行った。
今回公表された「2019年度 輸送密度(平均通過人員)2,000人/日未満の線区の経営状況(2018-2020平均)」では、芸備線の東城~備後落合区間に於いて、100円の利益を出すために必要な経費を表す“営業係数”が26,906であることや、山陰線の出雲市~益田区間で35.5億円の赤字を出すなど、同社のローカル線の苦しい経営状況が示された。
JR西日本は、ローカル線の経営実態や課題を地域行政や住民と共有することで、鉄道の上下分離等を含めたより具体的な議論を進めていきたいとしている。
会社発足から35年、JR西日本では、地域行政や住民の協力を得つつ、輸送改善や観光誘発といった利用促進策を進めてきたが、その間、ローカル線を取り巻く環境は、モータリゼーションの進展による道路整備や道路を中心としたまちづくり、また、国内製造業の空洞化等に伴う都市部への人口流出、少子高齢化など、沿線人口の減少で大きく変化。
また、鉄道は自動車に比べてきめ細い移動ニーズに応えることが難しいことなどもあって、線区によっては、厳しい利用状況に。特に今回示されている線区については、大量輸送という観点で鉄道の特性が十分に活かされていないことから、CO2排出面に於いても、鉄道の優位性が発揮できていない状況にあると云う。
JR西日本は、今後さらなる環境変化が見込まれる中、線区の特性の違いや移動ニーズを踏まえた持続可能な地域交通体系を、地域と共に創りあげていく必要があるとの認識から、今回、輸送密度(平均通過人員)2,000人/日未満の線区について、線区別の収支率(※)等を開示。
地域との課題共有により、「地域公共交通計画」の策定などの機会に積極的に参画し、地域旅客運送サービスの確保に関して、線区の特性の違いや移動ニーズを踏まえ、鉄道の上下分離等を含めた幅広い議論・検討を行っていくとしている。
また、現在取り組んでいるイノベーションの力も活かした様々な移動手段に関するソリューション開発や、グループで行っている持続可能な地域社会の実現のための地域課題の解決事業を通じて、地域の活性化にも貢献していきたいとしている。
[線区別の経営状況に関する情報開示]
※収支率は、その区間にかかる費用に対する収入の割合。上2つの表は、3か年平均。収入は線区運輸収入、費用は線区で発生する費用を計上(管理費等は除外)。
■2019年度 輸送密度(平均通過人員)2,000人/日未満の線区の経営状況(2017-2019平均)
※「データで見るJR西日本」で平均通過人員を開示している区間。
注1.「平均通過人員」は、利用客の1日1kmあたりの人数を表し、以下の計算により算出。
【平均通過人員】=【各路線の年度内の旅客輸送人キロ】÷【当該路線の年度内営業キロ】÷【年度内営業日数】
注2.線名・区間・営業キロは2020年度末現在の情報を元にしている。1987年度の平均通過人員は、1987年度当時の営業キロを元に算出。
注3.収支率はその区間でかかる費用に対する収入の割合、線区営業係数はその区間で100円の収入を得るためにかかる費用を表す。
注4.管理費(本社・支社にかかる費用)は除く。
注5.四捨五入の関係で、「収支率」「線区営業係数」「線区営業損益」は「線区運輸収入」「線区営業費用」による計算結果と一致しない場合がある。
■2019年度 輸送密度(平均通過人員)2,000人/日未満の線区の経営状況(2018-2020平均)
※「データで見るJR西日本」で平均通過人員を開示している区間。
注1.「平均通過人員」は、利用客の1日1kmあたりの人数を表し、以下の計算により算出。
【平均通過人員】=【各路線の年度内の旅客輸送人キロ】÷【当該路線の年度内営業キロ】÷【年度内営業日数】
注2.線名・区間・営業キロは2020年度末現在の情報を元にしている。1987年度の平均通過人員は、1987年度当時の営業キロを元に算出。
注3.収支率はその区間でかかる費用に対する収入の割合、線区営業係数はその区間で100円の収入を得るためにかかる費用を表す。
注4.管理費(本社・支社にかかる費用)は除く。
注5.四捨五入の関係で、「収支率」「線区営業係数」「線区営業損益」は「線区運輸収入」「線区営業費用」による計算結果と一致しない場合がある。
■2019年度 輸送密度(平均通過人員)2,000人/日未満の線区の経営状況(利用状況の推移)
※「データで見るJR西日本」で平均通過人員を開示している区間。
注1.「平均通過人員」は、利用客の1日1kmあたりの人数を表し、以下の計算により算出。
【平均通過人員】=【各路線の年度内の旅客輸送人キロ】÷【当該路線の年度内営業キロ】÷【年度内営業日数】
注2.線名・区間・営業キロは2020年度末現在の情報を元にしている。1987年度の平均通過人員は、1987年度当時の営業キロを元に算出。
なお、上の表のPDFは、「(JR西日本の4月11日付のニュースリリース)ローカル線に関する課題認識と情報開示について」の別紙2~4で参照できる:https://www.westjr.co.jp/press/article/items/220411_02_local.pdf