九州旅客鉄道(JR九州)は10月15日、同社が所有し、九州鉄道記念館(福岡県北九州市)で開館当時から展示している「キハ四二〇五五号気動車(キハ〇七形四一号気動車/1937年製)」が、同日開催の国の文化審議会で、重要文化財(美術工芸品)に指定すべきとの答申を受け、重要文化財に指定されることとなったと発表した。
九州現存の鉄道車両が、国の重要文化財に指定されるのは初。また、「気動車(きどうしゃ/※)」としての指定は、日本初になると云う。
JR九州では、これを記念して、特別記念カードを作成。九州鉄道記念館への来館客、先着1,000 名に配布する(10月16日(土)9:00~/なくなり次第配布終了)。
[車両概要]
<仕様>
– 製造年:1937年
– 製造会社:日本車輌
– 車体長さ:約19m
– 重さ:約27トン
– 定員:120 人(製造時)
<特徴>
戦前の代表的な機械式(クラッチで変速する方式)気動車で、連結運転の時は双方の運転士が合図しながら走行。昭和27年にはガソリンエンジンからディーゼルエンジンに変更された。大きく曲面を描く前面デザインと中央2枚が大きな6枚窓が特徴。
<車両の歴史>
・1937年(昭和12年):日本車輛製造株式会社にて製造。
・1952年(昭和27年):ガソリンエンジンからディーゼルエンジンに変更。
・1957年(昭和32年):豊後森機関区に配置され宮原(みやのはる)線で使用。
・1969年(昭和44年):引退(引退後、豊後森機関区や大分運転所で保管)。
・2003年(平成15年):九州鉄道記念館にて展示車両として保存。
[文化財としての評価]
・車体や内装の多くに製造時の姿をとどめ、昭和初期の旅客車の現存例として重要である。
・機械式の変速装置が残っている唯一の同形車輛である。
・車体の大型化と軽量化、ガソリン機関の出力向上と運行速度の高速化、車両の国産化と標準化を達成し、日本の気動車の技術発達史を俯瞰するうえで貴重であり、鉄道史、社会・経済史、科学技術上において重要である。
(文化庁報道発表資料より抜粋)
[九州鉄道記念館について]
明治時代建築の赤レンガ造りの建物。明治時代に九州で製作された木造客車の展示やC59型、9600型など懐かしい車両も多数展示し、鉄道の歴史を紹介。また、本格操縦体験なども実施している。
– 住所:福岡県北九州市門司区清滝2丁目3番29号
– 営業時間:午前9時から午後5時(入館は午後4時30分まで)
– 休館日:第二水曜日(但し、8月は除く)。7月は第二水・木曜日。
※第二水曜日が祝日の場合は、翌日に休館日を振り替え。
– 電話:093-322-1006
JR九州は、重要文化財の意義、重要性を認識した上で、引き続きこの気動車を展示していくと共に、文化財としての保存に努めていくとしている。
※動力源として内燃機関を搭載し自走する鉄道車両。
■九州鉄道記念館:http://www.k-rhm.jp/