九州旅客鉄(以下「JR九州」)、第一交通産業(以下「第一交通」)、西日本鉄道(以下「西鉄」)(以下「3社」)は10月6日、デジタルを活用したモビリティサービスの構築に関する覚書の締結を発表した。
交通事業の経営環境は、少子高齢化の進展・人口減少といった恒常的な社会課題に加え、新型コロナウイルスの感染症拡大による公共交通の利用減少により、非常に厳しい状況下にある。
同時に、デジタル技術の進歩、モビリティの技術革新、地球環境への配慮、新型コロナウイルスによるライフスタイル・働き方の変化などは、今後の交通事業に大きな影響をもたらす可能性が高く、事業者も既存のあり方に捉われない大きな変革が求められている。
今回、上記社会変革への対応、シームレスで利便性の高い交通ネットワークの実現を目指し、デジタル技術の活用を3社で連携して検討していくことに合意した。
既に各社では、ICTを活用して複数の交通手段を連携させ、予約・決済まで行うMaaSの活用に取り組んでおり、今回の協業では、地域や観光地における移動の利便性向上や既存公共交通機関の有効活用、高齢者の外出機会の確保、スマートシティの実現など3社のデジタル資源を活用したより良い地域交通ネットワークの構築に連携して取り組んでいく。
今回の連携では、3社が強固な地盤を持つ北九州市を中心に展開するものとし、具体策としては、北九州市の様々な観光施設を楽しめる周遊パスポートとJR九州の列車・西鉄バスの乗車券、第一交通タクシーの特典クーポンがセットとなったデジタルチケットを発売する。また、高齢者を対象として第一交通タクシーを活用したJR九州・西鉄の運営する商業施設への買物支援サービスを展開する。
■3社連携の具体的取り組み内容
– my route「北九州いってきまぁ~すチケット」を発売
北九州市の支援・協力により、北九州エリアの観光に便利でおトクなチケットを、マルチモーダルサービス”my route”(スマートフォンアプリ)上で発売する。
– 高齢者の外出・買い物を3社グループで支援
第一交通タクシーの予約センターに事前に電話で予約すると、自宅から第一交通タクシーが対象の各店舗まで案内し、店内での買い物もドライバーがサポートする。将来的には、買い物支援がタクシー配車アプリを通じて利用可能となるように、サービス内容のDX化へも取り組む。
– 利便性が高く持続可能な交通ネットワークの実現に向けた取り組み
・鉄道、バス、タクシー、おでかけ交通、輸送力や利用形態など、それぞれ特性が異なる各社の輸送サービスを新たな技術の活用により連携を進める。
・シームレスで利便性の高い交通ネットワークの実現に有効な手段となるMaaSアプリ“myroute”の普及・展開に向け、3社で連携・共同して取り組む。