東日本旅客鉄道(JR東日本)は12月21日、JR東日本研究開発センターに専用の実験棟を建設し、新たな「台車性能・耐久試験装置」を導入すると発表した。
なお試験装置の使用開始については、2024年夏頃を目指す。
JR東日本では、鉄道車両の安全走行の要である台車の開発に於いて、本線走行前に現有の台車試験装置を用いた走行性能試験により改良を実施してきたが、新幹線の高速化に伴い、走行性能試験だけではなく、長期耐久試験など信頼性評価のための専用実験棟を建設し、新しい「台車性能・耐久試験装置」を導入する。
[新たな試験装置について]
JR東日本では、高速で走行する新幹線車両の台車を開発するにあたり、台車試験装置を使用して、本線走行前に台車と台車部品の性能と信頼性を確認してきたが、高速試験電車「Fastech360(ファステック360/※)」に向けた台車開発の際、走行速度が大幅に向上することから、本線走行前に台車試験装置による長期耐久試験を台車開発手順に導入。
近年の新幹線の高速化に伴い、走行性能試験だけでなく耐久試験のニーズが高まってきたことから、今回、より本線走行に近い条件で耐久性の評価を可能とする「台車性能・耐久試験装置」を導入することとした。
新たな試験装置では、耐久試験装置として装置各部の耐久性向上を図ると共に、装置と試験用台車の常時遠隔監視を行い、オペレータの負担を大幅に軽減。さらに、高速台車の起動時における耐寒性に関する試験も実施可能な構成とした。なお、装置の使用開始は2024年夏頃を目指す。
JR東日本研究開発センターの実験設備について
JR東日本研究開発センターには研究員が業務を行う研究棟のほかに、試験装置や設備がある実験棟1および2、台車試験棟、そしてスマートステーション実験棟があるが、このうち、2003年から使用している台車試験装置の老朽取替と新たな研究開発のニーズに対応するため、実験棟を建設する。
<建設する実験棟の概要>
– 所在地:JR 東日本研究開発センター(さいたま市)
– 工期:2021年11月26日~2023年7月頃
– 構造:鉄骨造地上2階・地下1階
– 高さ:15.1m
– 延床面積:約1,236㎡
※)Fastech360:360km/h域での営業走行を目指して製作した高速試験電車。2009年6月まで各種走行試験を実施し、高速化の研究開発を進めてきた。
*タイトル写真:新実験棟完成予想 CG(左側)および概要(CG 右側は既存研究棟)。