東日本旅客鉄道(JR東日本)は1月20日、Suica(スイカ)利用統計情報の社外への販売検討を開始すると発表した。
同社ではこれまでも、Suica利用客の使用履歴データを、個人が識別されないように処理した上で、鉄道のサービス向上や自治体のニーズに応えるため、分析レポートという形で活用・提供してきたが、今回、新たに定型レポート「駅カルテ(※)」を作成。駅カルテを、駅ビルのマーケティング等、グループのサービス向上や自治体に加え、社外企業への販売を検討。今後は、このビッグデータの活用を通じて、まちづくりをはじめとする地域社会活性化への貢献を目指すと共に、新規事業の展開も検討する。
駅カルテとは
Suicaデータを基にJR東日本が作成した統計情報を駅ごとにまとめたPDF(セキュリティ機能付)形式の分析レポート。毎月のSuica利用データを集計し、1時間単位、年齢は10歳単位で集計。JR東日本の首都圏約600駅の各駅の1か月の平均値利用(平日、休日別)状況を表示する。
プライバシーへの配慮について
駅カルテの作成に於いては、予め元データから氏名等を削除し、個人の識別性を下げる加工を実施。50人単位の集計(30人未満は非表示)をはじめ、プライバシーへの配慮を徹底する。
除外手続きについて
自治体等への分析レポートを提供する際、使用されることを希望しない人のデータを集計から個別に除外してきたが、駅カルテに於いても同様の対応を行う。なお除外手続きは、ホームページ<https://www.jreast.co.jp/suica/procedure/suica_data.html>やメール、電話で受付けている。
[駅カルテ作成の経緯 ]
① 2013年の「Suicaに関するデータの社外への提供(※1)」にあたり、社会の反応を踏まえ提供を中止。
② 有識者会議から「中間とりまとめ(※2)」 と「とりまとめ(※3)」を受領。
③ 有識者のご意見を踏まえ、厳格なデータ管理を徹底しつつ、統計情報の社内での活用推進、公益目的の提供、除外手続きの継続等の取組みを着実に実施し、JR東日本のホームページ等で公表。
④ 今回、統計情報のさらなる活用を目的に、統計情報の定型レポート「駅カルテ」を作成した。
※1:2013年6月、日立製作所が駅のマーケティング資料の作成・販売を目的に、JR東日本が提供するSuicaのデータ(氏名・電話番号・物販情報等を除外し、生年月日を生年月に変換した上、さらに、SuicaID番号を不可逆の別異の番号に変換)の活用を公表。
※2:(JR東日本)Suicaに関するデータの社外への提供についての有識者会議「中間とりまとめ」受領について(2014年3月20日付/PDF)<https://www.jreast.co.jp/press/2013/20140311.pdf>
※3:(JR東日本)Suica に関するデータの社外への提供に関する有識者会議「とりまとめ」の受領について(2015年11月26日付/PDF)<http://www.jreast.co.jp/press/2015/20151115.pdf>
[Suicaデータの活用方針]
■利用客や社会との信頼関係構築
<個人情報やプライバシー保護の取組み>
・法令と規程に則した厳格なデータ管理。
・駅カルテの加工・提供ルールの作成。
<安心のための取組み>
・除外要望窓口の継続。
・HP等で継続してわかりやすい情報を発信<https://www.jreast.co.jp/suicaall/>。
<公益性の高い分析結果を世の中に発信>
・コロナ影響の分析事例。
・サービス改善事例。
・自治体への提供事例。
■ビッグデータの利活用
<サービス改善に活用>
・大規模イベント時の混雑改善。
・定期券多売期の案内改善。
・駅の案内サインに関する改善 他。
<自治体を通じて地域の施策に貢献>
・自治体(逗子市、藤沢市)に統計情報を提供。
<新たなデータ活用方法の検討>
・駅カルテの社外提供の検討。
・匿名加工情報などの調査研究。