日本国特許庁(JPO)とフランス産業財産庁(INPI)は11月27日、世界に先駆け、来年1月1日に特許審査ハイウェイ(PPH)を開始すると発表した。PPHの利用により、日本で特許可能な場合、フランスにおいて簡易な手続で早期審査が受けられるようになる。
経済のグローバル化に伴い、世界の特許出願件数は増加傾向にあり、日本企業等の海外への出願件数も増加していることから、日本国特許庁(JPO)では、「特許審査ハイウェイ(PPH/※1)」を推進し、出願人の海外における特許権取得の迅速化や質の高い権利保護、審査負担の軽減に取り組んでいる。
※1:第一庁(出願人が最先に特許出願をした庁)で特許可能と判断された出願について、出願人の申請により、当該庁とこの取組を実施している第二庁において簡易な手続で早期審査が受けられるようにする枠組み。
そのような中でJPOは今回、フランスで「企業の成長とビジネス変革のための行動計画(PACTE法)」に基づき知的財産法が改正され審査手続が強化されたことを踏まえ、フランス産業財産庁(INPI)と来年1月1日にPPHの試行を開始することに合意した。
これにより、来年1月1日以降、日本で特許可能と判断された出願については、出願人の申請により、フランスにおいて簡易な手続で早期審査が受けられるようになる。
これまでどの庁ともPPHを実施していないINPIとのPPH試行はJPOが初。JPOは、フランスへ投資する日本企業が多いなか、今回のPPHの試行開始により、日本企業のフランスでの事業展開の円滑化が期待できるとしている。
なお、この合意により、JPOがPPHを締結した国と地域は、世界最多となる45に。JPOは、「日本で権利を得ることができれば、他国・地域においても早期に権利を取得することができるPPHのハブ特許庁」として、引き続き機能し、今後もPPHを通じて出願人の海外における迅速で安定的な権利取得を支援し、各国特許庁の審査結果の活用による審査の質の向上や審査負担の軽減を図っていくとしている。
■(特許庁)特許審査ハイウェイ(PPH)について:https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/pph/index.html