埼玉工業大学(本部:埼玉県深谷市、学長:内山俊一、以下、埼工大 ) は7月3日、群馬県長野原町の〝川原湯温泉あそびの基地NOA〟にて、ITbookテクノロジー(本社:東京都港区、社長:菊田志向、以下、ITbook)らと共に「水陸両用無人運転技術の開発 ~八ッ場スマートモビリティ~」と題した水陸両用バスの自動運転/運航システム開発に係る共同記者会見を実施した。(坂上 賢治)
共同記者会見時に於ける様子
埼工大はかねてよりAI(人工知能)の教育・研究を先駆的な視野で取り組むなか、自動運転技術の研究事業を強化してきており、昨月、東京都内で行われた内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」にあたる実証実験にも私立大学として唯一2期連続で参加していた。同校はこの知見を活かし、世界的にも例のない水陸両用バスの自動運航技術に取り組む。
ちなみにこのプロジェクトは公益財団法人日本財団(以下、日本財団)の「無人運航船の実証実験に係る技術開発共同プログラム」に、ITbookホールディングス(本社:東京都中央区、代表取締役会長兼CEO:恩田饒)が代表として関わる「水陸両用無人運転技術の開発 ~八ッ場スマートモビリティ~」計画が採択されたことによるもの。
埼工大は同プロジェクトで、ITbookホールディングス傘下のITbookテクノロジーと共同研究契約を締結。長野原町、エイビット、日本水陸両用車協会と共にコンソーシアムの主要メンバーの立場として参画する。より具体的には、水陸両用バスの実験車両兼船舶による自動運転・運航の実現に加えて、関連ソフトウェアの設計も担っていく。
写真左から、埼玉工業大学・内山俊一学長、ITbookホールディングス・恩田饒会長兼CEO、荻原睦男 長野原町長、特定非営利活動法人 日本水陸両用車協会・須知裕曠理事長、(株)エイビット・営業部5Gビジネスユニット池田博樹ジェネラルマネージャー(工学博士) 。
埼工大がプロジェクトに於いて取り組む具体的内容は、同校の既存実績である自動運転バスに用いたジョイスティックロボカー技術、及び自動運転ソフトのオープンソフトウェアであるAutoware(The Autoware Foundationの商標)をベースにした水陸両用バスの自動運転・運航システム構築だ。
これを長野原町が同発表に先立って導入していた水陸両用バスに適応させ、自動運転・運航時の離着水・離着桟(離着水・離着桟に於ける位置推定含む)、水上障害物の回避・遠隔操作を伴う(ローカル5G等を用いた遠隔操作を含む)自動運行全域に取り組む。
八ッ場ダム水陸両用バス(長野原町所有)
実施場所は、群馬県の八ッ場あがつま湖(八ッ場ダム)。ここに設けられている水陸両用車を使って地上から入水。水上を自動航行した後に再上陸して地上に戻るルートを走る。基礎研究期間は2年間。さらに実用化のための検証期間を加えて5年後の実用化を目指す。
そもそも埼工大は冒頭に記載した通りAI(人工知能)人材の育成を加速化させるため、全国に先駆けた2019年4月に工学部情報システム学科にAI専攻を新開設するなど、AIエンジニアの育成に向け教育と研究に取り組んできた。
なかでも自動運転技術は、2019年度の活動実績で「自動運転技術開発センター」(センター長:渡部大志)が延べ2,415名の体験試乗者を乗せて計652㎞をレベル3で実走。
また全国各地での実証実験にも積極的に参加してきた。さらに同研究チームが最も得手とする画像認識技術を背景に必要となるソフトウェアを「SAIKO Car Ware」として独自開発。交通量の多い公道や坂道の多い山間部など、自動運転ではあえて難関の道路環境にチャレンジ。活動実績はトップクラスであり蓄積ノウハウも豊富だ。
埼工大自動運転バス
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