トヨタ自動車と東京大学、TRENDEの3者は、ブロックチェーン(*1)を活用し、電力網につながる住宅や事業所、電動車間での電力取引を可能とする次世代電力システム(P2P電力取引/*2)の共同実証実験を、6月17日からトヨタの東富士研究所と周辺エリアで実施する。
この実証実験では、分散型電源を保有する需要家(プロシューマー/*3)と電力消費者が、電力を売買できる市場を介して、需給状況に応じた変動価格で電力を売買することの経済性と、プロシューマーが発電した電力を、他の需要家と直接売買する双方向・自律型の電力供給システムの有効性を検証する。
具体的には、実証実験に参加する家庭や事業所がアクセスできる電力取引所を新設するとともに、家庭や事業所ごとにAIを活用したエネルギー管理システム(電力売買エージェント)を設置。
電力売買エージェントは、家庭や事業所の電力消費と太陽光パネルの発電量予測に応じて電力取引所に電力の売買いを発注。これらを一定のアルゴリズムでマッチングし、電力の個人間売買を行う。
<各家庭や事業所、PHVからの入札情報を電力取引所に集約>
<電力取引所で売買条件をマッチングして取引を成立>
<成立した取引情報に基づき送配電網を通じて電力を売買>
なお、太陽光パネルや蓄電池に加え、PHVを分散型電源として組み合わせる個人間電力売買の実証実験は、世界初(*4)。
3者は実験を通じて、電力消費者とプロシューマーが、市場取引を通じて電力を売買することの経済性を検証するとともに、距離別託送料金(*5)のシミュレーションや航続距離に応じて電力消費量が変化する電動車の電力需要予測アルゴリズムの検証を行う。
[実証概要]
– 実証目的:P2P電力取引による電力料金最小化と電力供給システムとしての有効性検証
– 実証期間:2019年6月17日~2020年5月(1年間)予定
– 実施場所:トヨタの東富士研究所と周辺エリア
– 実証に参加するモニター:
・ 一般家庭:電力消費者(PHV有り、PHV無しの2タイプ) / プロシューマー(太陽光パネルのみ、太陽光パネル+蓄電池、太陽光パネル+PHV、太陽光パネル+蓄電池+PHV、の4タイプ)
・事業所(太陽光パネル+PHVチャージャー)
– 電力価格:需給量に応じた変動価格
– 各役割:
・トヨタ:車両用電力売買エージェントの開発
・東京大学:電力取引所の構築 / 事業所用電力売買エージェントの開発
・TRENDE:家庭用電力売買エージェントの開発
*1)ブロックチェーン:分散型台帳技術とも呼ばれ、台帳情報をネットワーク参加者全員で共有することで改ざん耐性を持つデータベースを安価に構築する技術。
*2)P2P(Peer to Peer):特定のサーバーやクライアントに依存せず、ノードと呼ばれる各端末が対等に直接通信を行って取引等を実行する仕組み。
*3)プロシューマー:発電設備を保有し自ら電力生産(プロデューサー)する電力消費者(コンシューマー)。プロデューサーとコンシューマーを合わせて呼称する造語。
*4:2019年5月23日時点。TRENDE調べ。
*5)距離別託送料金:送配電距離の長さに応じて電力託送料金を変化させる仕組み。