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2024年10月15日【MaaS】

JMS2024開幕、幕張メッセでCEATECとの併催に

坂上 賢治

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今年のJMSは10月15日、「CEATEC 2024(シーテック2024)」との併催の「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024(JMS2024/ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024)」として幕張メッセ(千葉市美浜区/入場無料の登録入場制/展示ホール1)で開幕した。( 坂上 賢治 )

 

併催のCEATEC 2024には、5つの展示エリア(General Exhibits、AI for All、パートナーズパーク、ネクストジェネレーションパーク、グローバルパーク)に808社/団体が出展。特にスタートアップ/大学研究機関は、同カテゴリーの記録が残る2014年以降で過去最多となる188社/団体が出展、次世代を担う多様な出展者が集結した。

 

 

一方、長年の開催実績を持つ東京モーターショーを改め、昨年、初開催されたジャパンモビリティショーは、それまでの隔年開催から2年のイベントを1つのパッケージとする毎年開催となり、昨年の〝ショーイヤー〟では「乗りたい未来を、探しにいく場」をテーマに掲げ、今年は企業連携を推進する「プロセスイヤー」としての開催となっている。

 

今年は、自工会14社がEV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、CN燃料(カーボンニュートラル燃料)、FCV(水素燃料電池車)&Fuel Cell(水素燃料)の4カテゴリーで最新の取り組みを展示。更に自動車産業に関わる事業会社21社、日本自動車部品工業会の会員企業26社、これに併せてスタートアップ企業145社が参画して新たなビジネスチャンスを探るイベントとなった。

 

 

そんなJMS2024で注目されたのはPMV(Personal Mobility Vehicle)などの小型モビリティで、会場では自工会14社の出展車両だけでなく、協業先を探す意欲的なベンチャー企業から出展された様々な先進モビリティや関連技術、サービス提案に注目が集まった。

 

対する自動車メーカーでも、既存の事業領域に捕らわれない新たな提案があった。トヨタ自動車は、災害時に水素ステーションがない場所でも水素をエネルギー利用できる「ポータブル水素カートリッジ」を展示。

 

 

日産は、日産独自のエネルギーマネジメントサービス「ニッサンエナジーシェア」、ビジネスの効率化に貢献する法人向けサービス「Nissan Biz Connect API」、子どもの車内置き去り事故を防止する機能「マダイルヨ」を出展。ホンダは、ハンズフリーパーソナルモビリティ「UNI-ONE」、自転車を電動アシスト化・コネクテッド化する「SmaChari」、独創的な技術・アイデア・デザインを形にする「IGNITION」などを出展。

 

三菱自動車工業は、ヒト・モノ・コトを繋ぐサービス「EVNION」、アウトドア複合サービス「NOYAMA」、スマート充電サービスなどを出展。マツダは「乗れば乗るほど元気になること」を目指し、運転に過度に干渉しない〝さりげない〟センシング技術の出展などで協業先を探す。スズキは燃料電池(FC)を搭載した荷役運搬車や電動パーソナルモビリティ「スズライド」と電動マルチユースモビリティ「スズカーゴ」を出展した。

 

ダイハツ工業は兼業・副業に挑戦する人を対象に「行動支援型コミュニケーションサービス」と銘打つ新事業モデルを紹介した。

 

 

小型モビリティ以外では、いすゞ自動車とUDトラックスは「未来社会マップ」を展示してスタートアップが事業をイメージし易い提案を行い、三菱ふそうトラック・バスは、ごみ収集作業時間の短縮や作業員の肉体的負担を軽減できる作業員を追尾して自動運転するEV「e Canterごみ収集車」を出展した。

 

自動車メーカーが異業種やスタートアップとの連携を重視するのは、モビリティ業界が物流問題や電池・半導体の競争力、資源の安定調達など多様な課題を抱えているためだ。自工会は、今回のBtoB開催を介してスタートアップ企業の協業を模索し、来年のJMS2025(後述)に活かす。

 

また10月15日の開催初日には、〝モビリティ社会の共創〟や〝オープンイノベーション〟をテーマに掲げた特別セッションに於いて、自動車工業会(自工会)会長で、いすゞ自動車 代表取締役会長CEOを務める片山正則会長が登壇し、「CEATECに出展されているITエレクトロニクス産業の皆様は、自動車の価値を高める仲間として様々な領域で協業頂き、これまでの歩みのなかでの助言やサポートに大変感謝しています。

 

今年のCEATECにも、我々が学ぶべき多様な技術や数々の取り組みがあり、今後も我々の事業共創プラットフォームのパートナーとしてコミュニケーションできることを大変嬉しく思います。

 

我々自動車産業は、社会の変化を支える存在として〝最も安全に〟〝最も便利に〟〝もっと遠くに〟を標榜し、暮らしを豊かにするべく貢献してきました。

 

その一方で自動車産業は、100年に1度と言われる大変革期の真っ只中にあり、CASEへの対応など産業界がダイナミックに変化しています。また現在の日本社会は少子高齢化、労働力不足、自然災害といった社会課題がより一層深刻さを増す他、働き方改革や価値観など生活者ニーズの多様化も加速しています。

 

今回、開幕を迎えたCEATECとJMS2024では、我々自工会が喫緊に解決していかなければならない7つの課題をテーマセッションに盛り込み、モビリティの価値や体験を拡張させる大きなポテンシャルをお持ちのスタートアップ企業の皆様との意見交換を介して、生活者を中心に据えた豊かで夢のあるモビリティ社会を共創していきたいと考えています。

 

今年のショーでは、これまで接点が無かった様々な産業界の皆様と共に、未来に向けた事業共創の重要性とその可能性について共有する場として活かしていけば、新たな発想が生み出される切っ掛けとなり、それは我々自工会としても大変興味深いものになるに違いないと、今から期待に胸を膨らませています。

 

未来の自動車は、これまでの単なる移動手段に留まらず、社会に貢献する資産として活かす道を見い出し、新たな機会と体験を創出する新たなモビリティ産業へと進化させていきたいという想いを新たにしています」との趣旨で抱負と期待を語った。

 

 

なお10月16日の「未来モビリティ会議」に於ける特別セッションでは、〝日本式カーボンニュートラル実現戦略とは?〟をテーマにマツダ代表取締役社長兼CEOの毛籠勝弘氏、三菱自動車工業 代表執行役社長 兼 最高経営責任者の加藤隆雄氏、日野自動車 代表取締役社長CEOの小木曽聡氏らが参加するビジネスセッションが開かれる。

 

続く10月17日には、〝モノづくり大国日本のモビリティ製造最前線〟をテーマにスバル代表取締役社長CEOの大崎篤氏、ダイハツ工業 代表取締役社長の井上雅宏氏、UDトラックス代表取締役社長の丸山浩二氏らがビジネスセッションに参加。

 

最終日の10月18日には、〝モビリティは課題先進国・日本の未来を変えるか?〟をテーマにスズキ 代表取締役社長の鈴木俊宏氏らが参加するビジネスセッションが開かれる予定だ。

 

「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024」開催概要
イベント名称:JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024
会期:2024年10月15日(火)〜 18日(金)10:00-17:00
入場無料:無料(全来場者登録入場制・公式Webサイトから申請する)
会場:幕張メッセ 国際展示場(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)
主催:一般社団法人 日本自動車工業会(JAMA)
共催:一般社団法人 日本自動車部品工業会(JAPIA)
後援
外務省、経済産業省、国土交通省、環境省、東京都、日本経済団体連合会
一般社団法人 日本自動車車体工業会(JABIA)
一般社団法人 日本自動車機械器具工業会(JAMTA)
一般社団法人 日本自動車販売協会連合会(JADA)
日本自動車輸入組合(JAIA)
一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)
公式サイトhttps://www.japan-mobility-show.com/

 

 

「CEATEC」開催概要
イベント名称:CEATEC 2024
開催日時:2024年10月15日(火)〜 18日(金)10:00-17:00
入場無料:無料(全来場者登録入場制・公式Webサイトから申請する)

会場:幕張メッセ 国際展示場(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)
主催:一般社団法人 電子情報技術産業協会
公式サイトhttps://www.ceatec.com/ja/

 

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なお日本自動車工業会は10月15日、次期「JAPAN MOBILITY SHOW 2025(ジャパンモビリティショー2025)」について、東京ビッグサイト(東京国際展示場)を会場に2025年10月30日〜11月9日(プレスデー10月29日〜30日)開催すると発表している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。