NEXT MOBILITY

MENU

2024年5月31日【エネルギー】

JLR、蓄電池管理のフォーテスキューと戦略的提携

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

先進のバッテリー・インテリジェンス・ソフトウェアを量産車へ初搭載

 

JLRは5月末( 英国ゲイドン発 )、Fortescue( 豪フォーテスキュー・メタルズ・グループ )の先進バッテリー・インテリジェンス・ソフトウェア「Elysia」を次世代EVに採用する複数年契約を締結した。このソフトウェアは、バッテリーの寿命、安全性、性能を向上させ、JLRのラグジュアリーカーの強化に貢献する。

 

今年後半に発表予定の新型「RANGE ROVER ELECTRIC」を筆頭に、「Elysia」ソフトウェアは、将来のすべてのJLRのEVモデルをモニターすることになる。これにより、充電時間の短縮、信頼性の向上、航続距離の延長などが実現し、お客様により良い所有体験を提供できるようになるとした。

 

バッテリーの状態をモニターすることで、EVに搭載されているバッテリーのセカンドライフ用途への移行を容易にし、サステナビリティ(持続可能性)の実現に寄与。Fortescueの革新的なソフトウェアは、物理学に基づいたデジタルツインと確率的人工知能を使用してバッテリーの問題を特定・解決することにより、バッテリーのパフォーマンスと安全性を最適化する仕組みだ。

 

Fortescueは、2030年までに事業活動からの排出量をゼロにする

 

今回の両社による提携は、2030年までにすべてのブランドにEVモデルをラインアップし、2039年までにカーボンネットゼロを達成するというJLRの「REIMAGINE」戦略に基づいたもの。Fortescueは、2030年までに事業活動からの排出量をゼロにすること(スコープ1および2)や、独自の野心的な脱炭素化目標を掲げている。

 

JLRのプロダクト・エンジニアリング担当エグゼクティブ・ディレクターであるトーマス・ミューラー氏は、「Fortescueのテクノロジーにより、JLRは2030年までに車両ポートフォリオ全体にEVモデルをラインアップする上で不可欠なデータ分析を、これまで以上に詳細に実施することが可能になります。

 

業界が電動化に向けて移行するなか、バッテリーの安全性、性能、寿命をさらに向上させるためには、このような協力関係が極めて重要なのです」と新たな時代に向けたデータ分析の重要性について説明した。

 

全製品がラグジュアリーブランドとして高基準を満たすようになる

 

対してFortescue最高経営責任者(CEO)のマーク・ハッチンソン氏は、「今回の提携は、最先端のイノベーションとエンジニアリングの融合といえます。

 

JLRは、Fortescueの革新的なバッテリー・インテリジェンス・ソフトウェアを通じて、バッテリーデータをこれまでにない方法で分析し、現実世界で製品をモニターする画期的な方法を導入することにより、すべての製品がブランドとして非常に高い基準を満たすようになります。

 

両社がモータースポーツから学んだ教訓とイノベーションは量産車のバッテリーシステムの管理に適用され、これにより、JLRのお客様に最先端のテクノロジーによる優れたEVパフォーマンスを提供する未来が現実のものとなるでしょう」と述べた。

 

なお同戦略的提携により、JLRはバッテリーの状態について詳細な知識を得て、ソフトウェアのアップデートを通じてパフォーマンスを向上させるための具体的な提案ができるようになる。

 

つまり、今回の提携はJLRの「REIMAGINE」戦略の鍵となるもので、2023年12月にJLRはTata Communicationsと提携。今後。Fortescueは128のグローバル・サイトを高度なデジタル機能で接続して、JLRのモダンラグジュアリーおよびサステナビリティに関するビジョンをサポートしていく構えだ。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。