先進のバッテリー・インテリジェンス・ソフトウェアを量産車へ初搭載
JLRは5月末( 英国ゲイドン発 )、Fortescue( 豪フォーテスキュー・メタルズ・グループ )の先進バッテリー・インテリジェンス・ソフトウェア「Elysia」を次世代EVに採用する複数年契約を締結した。このソフトウェアは、バッテリーの寿命、安全性、性能を向上させ、JLRのラグジュアリーカーの強化に貢献する。
今年後半に発表予定の新型「RANGE ROVER ELECTRIC」を筆頭に、「Elysia」ソフトウェアは、将来のすべてのJLRのEVモデルをモニターすることになる。これにより、充電時間の短縮、信頼性の向上、航続距離の延長などが実現し、お客様により良い所有体験を提供できるようになるとした。
バッテリーの状態をモニターすることで、EVに搭載されているバッテリーのセカンドライフ用途への移行を容易にし、サステナビリティ(持続可能性)の実現に寄与。Fortescueの革新的なソフトウェアは、物理学に基づいたデジタルツインと確率的人工知能を使用してバッテリーの問題を特定・解決することにより、バッテリーのパフォーマンスと安全性を最適化する仕組みだ。
Fortescueは、2030年までに事業活動からの排出量をゼロにする
今回の両社による提携は、2030年までにすべてのブランドにEVモデルをラインアップし、2039年までにカーボンネットゼロを達成するというJLRの「REIMAGINE」戦略に基づいたもの。Fortescueは、2030年までに事業活動からの排出量をゼロにすること(スコープ1および2)や、独自の野心的な脱炭素化目標を掲げている。
JLRのプロダクト・エンジニアリング担当エグゼクティブ・ディレクターであるトーマス・ミューラー氏は、「Fortescueのテクノロジーにより、JLRは2030年までに車両ポートフォリオ全体にEVモデルをラインアップする上で不可欠なデータ分析を、これまで以上に詳細に実施することが可能になります。
業界が電動化に向けて移行するなか、バッテリーの安全性、性能、寿命をさらに向上させるためには、このような協力関係が極めて重要なのです」と新たな時代に向けたデータ分析の重要性について説明した。
全製品がラグジュアリーブランドとして高基準を満たすようになる
対してFortescue最高経営責任者(CEO)のマーク・ハッチンソン氏は、「今回の提携は、最先端のイノベーションとエンジニアリングの融合といえます。
JLRは、Fortescueの革新的なバッテリー・インテリジェンス・ソフトウェアを通じて、バッテリーデータをこれまでにない方法で分析し、現実世界で製品をモニターする画期的な方法を導入することにより、すべての製品がブランドとして非常に高い基準を満たすようになります。
両社がモータースポーツから学んだ教訓とイノベーションは量産車のバッテリーシステムの管理に適用され、これにより、JLRのお客様に最先端のテクノロジーによる優れたEVパフォーマンスを提供する未来が現実のものとなるでしょう」と述べた。
なお同戦略的提携により、JLRはバッテリーの状態について詳細な知識を得て、ソフトウェアのアップデートを通じてパフォーマンスを向上させるための具体的な提案ができるようになる。
つまり、今回の提携はJLRの「REIMAGINE」戦略の鍵となるもので、2023年12月にJLRはTata Communicationsと提携。今後。Fortescueは128のグローバル・サイトを高度なデジタル機能で接続して、JLRのモダンラグジュアリーおよびサステナビリティに関するビジョンをサポートしていく構えだ。