JFEシャフト式ガス化溶融炉(NTU所有)
JFEエンジニアリング、近畿大学およびシンガポール国の南洋理工大学(以下、NTU)の三者は、廃棄物焼却炉であるシャフト式ガス化溶融炉の燃料としてバイオコークスを利用する実証事業に2021年5月より着手する。JFEエンジニアリングと近畿大学が、3月3日発表した。
バイオコークスは、近畿大学バイオコークス研究所所長・教授の井田民男の研究チームが開発した次世代バイオ・リサイクル燃料。多種のバイオマスを原料として利用できる特長を持ち、CO2削減に寄与する燃料として注目を集めている。
バイオコークス
シンガポール国では、木くず等の木質系バイオマスの一部および汚泥系バイオマスの大部分が未利用となっており、未利用バイオマスの利活用技術の開発が各所で進められている。
この実証事業は、シンガポール環境庁(The National Environment Agency)が公募した補助事業において採択されたもので、三者は、ごみの溶融処理に要する燃料の一部にバイオコークスを使用する実証試験を、NTUが所有するJFEシャフト式ガス化溶融炉で行う。
シャフト式ガス化溶融炉とは、廃棄物処理後の灰を埋め立てるのではなく溶融し、無害で有効利用可能なスラグ(砂状の無機物)とメタル(金属類)に変える能力を持つ廃棄物焼却炉。通常のごみだけでなく既に最終処分場に埋め立てられたごみや焼却灰なども再処理してスラグ化し体積を小さくできるため、ひっ迫する最終処分場の「再生」も期待されている。
JFEエンジニアリングはこれまでも南洋理工大とともにシャフト式ガス化溶融炉での多様な実証試験を行ってきた。今回の三者での実証事業を通して、エネルギーの地産地消実現と、未利用バイオマスを有効活用した廃棄物処理技術の確立を目指し、循環型社会の形成に貢献していくとしている。