CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D.パワー ジャパン(J.D. パワー)は12月17日、2020年日本自動車テクノロジーエクスペリエンス調査(TXI:Japan Tech Experience Index Study)SM(パイロット版)の結果を発表した。
同調査は、新車を購入したユーザーを対象に、先進技術をはじめとする各種装備の有無、利用状況、不具合経験や評価、習熟方法、非利用理由などを聴取したものである。各種装備に対する消費者の受容性や使用実態、今後の潜在的需要や解決すべき課題を早期に把握することで、各種機能が本格的に市場浸透する前に課題解決への取り組みを可能にする狙いがある。全26機能*を調査対象としている。
主な調査結果は以下の通り。
機能の装備率(「装備あり」と回答した割合)の上位3項目をみると、リアルタイム交通情報表示(52%)、後退時衝突被害軽減ブレーキ(32%)、自動運転支援(29%)であった。それ以外の23項目については、いずれも20%以下の装備率に留まっている。
どの機能も概ね「自動車販売店のスタッフの説明」、「マニュアル(冊子)」、「使いながら覚えた」が三大習熟方法であった。そのうち、他の機能に比べ「自動車販売店のスタッフの説明」の回答率が最も高かったのは自動運転支援で47%、同様に、他の機能に比べ「使いながら覚えた」の回答率が最も高かったのは「リアルタイム交通情報表示」で51%であった。
自動運転支援について、自動車販売店から操作方法の説明があった場合の利用中止率は21%、説明がなかった場合は27%であり、説明がない場合は利用中止率が高くなることが分かった。他の多くの機能でも同様の傾向がみられ、販売店での説明有無がその後の機能継続利用に影響を及ぼす可能性を示唆している。
機能の不具合指摘について、「壊れている/全く作動しない」、「動作が不安定/不正確」、「分かりにくい/使いにくい」、「うっとうしい/気が散る」の4タイプで聴取しているが、「分かりにくい/使いにくい」ケースでの指摘が最も多く、機能の分り難いや使い辛さが不具合指摘の主要因になっているといえる。
機能の装備数と同ブランドの推奨意向には相関がみられ、先進技術装備の多い車両はユーザーにとって魅力的であることを示している。先進技術が全く装備されていない場合、同じブランドの他者奨意向は5%だが、6種類以上装備ありの場合では26%となっている。 “どのような”先進技術を“どれだけ”装備するかは、商品力を大きく左右するファクターといえる。
*調査対象機能:
自動運転支援/アクティブレーンチェンジアシスト/リモートパーキング/ジェスチャーコントロール/緊急時自動操舵支援/ソーラー発電ルーフ/道路インフラ・他車との通信システム/デジタルルームミラー/後退時衝突被害軽減ブレーキ/リアシートリマインダー/後席会話支援システム/リバースアシスト/降車時安全支援/ フロントクロストラフィックワーニング/ドライバーモニタリング/ユーザープロファイル/グラウンドビューカメラ/リアクロストラフィックワーニング/リアルタイム交通情報表示/車載Wi-Fi/パーキングアシストカメラ・センサー/Android Auto・Apple CarPlay/自動車メーカーのスマートフォン用アプリ/車載ナビゲーションシステム /車載音声認識/車載Bluetooth®
今回の調査に関して、J.D. パワーオートモーティブ部門シニアディレクターの浦山浩一氏は、調査結果に対し次の様にコメントした。
「今後は、日本自動車テクノロジーエクスペリエンス調査SM(TXI)で、市場導入初期の機能に特化した情報を捉え、各機能の普及状況に応じて他の品質2調査(IQS、APEAL)に反映させていく方法を取り、各調査の棲み分けを明確にし、独立性を高めていく。また2021年調査からは、先進技術の浸透や各機能のユーザー評価をスコア化し、ブランド単位でのランキングと併せて、機能別によるランキングの公表を予定している。」
◾️J.D. パワー 2020年 日本自動車テクノロジーエクスペリエンス調査SM(パイロット版)概要
2019年5月から2020年4月に新車を購入し利用している乗用車ユーザーを対象に、先進技術をはじめとする各種装備の有無、利用状況、不具合経験や評価、習熟方法、非利用理由などを聴取し、明らかにする調査。
実施期間:2020年7月下旬~8月中旬
調査方法:インターネット
調査対象:車両保有期間が3ヶ月~15ヶ月のユーザー
回答者数:4,299人