ジェーシービー(本社:東京都港区、代表取締役会長兼執行役員社長:浜川 一郎、以下:JCB)とナウキャスト(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:辻中 仁士)は11月5日、国内消費指数「JCB消費NOW」の10月前半(10月1日~10月15日)の速報値を更新した。同指数は、プライバシーを保護した形で加工したJCBカードの取引データを活用し、現金も含むすべての消費動向を捉えている。
今回の指数は、“Go To トラベル”に東京発着の旅行が対象に加わり、「旅行」が大幅に回復する一方、「家電」「家具」は伸び鈍化。全体消費は回復足踏みという結果となった。
なお、10月前半については、以下2点の特殊要因に留意したい。
①前年の2019年10月は、消費増税前の駆け込み需要後の反動減あり
2019年10月前半は、消費増税前の駆け込み需要の反動で小売・サービス業ともに減少したため、2020年10月前半の数値は実体よりも強く見える可能性がある。
②カレンダー要因
例年10月前半にあった祝日「体育の日」が、2020年から「スポーツの日」となり7月後半に移動しており、祝日が1日少ない(連休無し)。
■10月前半・参考系列(注)ハイライト (調査:ナウキャスト)
今回、上述した①の影響をできる限り除いて足元の状況を分析するため、「新型コロナウイルス感染症拡大前」の基準値として、増税が行われなかった2年前の2018年1月後半時点の値を設定し、分析ハイライトを作成している。(=2018年比。前年比は、「参考:前年比」に掲載)
・2018年比:2018年1月後半の前年比の値を基準として、消費がどの程度変化(増減)しているかを捉える。
1.全体(2018年比)
「全総合」は、新型コロナウイルス感染症拡大前の1月後半に比べて、-12.1%となり、9月後半から下落幅が拡大。「小売総合」、「サービス総合」ともに下落し、消費回復に足踏みがみられる。各業種をみると、コロナ禍以降加速した『巣ごもり消費』等の消費行動が“巻き戻っていく”兆しがみられる。
▼参考:前年比(2019年比)
2019年比:2019年1月後半の前年比の値を基準にして、消費がどのように変化(増減)しているかを捉えるもの。
※新規感染者数は、各期間中の日次合計値(全国)
参照元:厚生労働省・オープンデータ「陽性者数」:https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.html
2.小売総合(2018年比)
「小売総合」は、コロナ前の1月後半に比べて、-5.3%となり、9月後半から下落幅が拡大。これまで好調だった「家電」「家具」「EC」の伸び率が縮小して減少傾向となっており、「百貨店」などでも消費回復の足踏みが続いている。
3.サービス総合(2018年比)
「サービス総合」は、コロナ前の1月後半に比べて、-17.3%となり、9月後半から下落幅が拡大。祝日が例年に比べて1日少ない(連休が無い)ことなどで、「外食」「交通」「宿泊」「娯楽」は回復が足踏み。一方、祝日が少ないにも関わらず「旅行」は-3.6%と、9月後半(-17.1%)から10%以上の大幅な回復となった。これは、10月から政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」の対象に、東京発着の旅行が加わった影響などによるものと考えられる。
■「JCB消費NOW」
https://www.jcbconsumptionnow.com/member/register