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2024年9月5日【CASE】

日本の医療スタートアップ、ASEANで医療MaaS実証

坂上 賢治

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メドリング、MRT、わかさクリニックグループ、PT. Sugity Creativesの4社は、インドネシアで医療MaaSを介した在宅医療実証を開始する。

 

より具体的には、医師・看護師の人材紹介会社MRT傘下で医療DXサービスを担うメドリングが、MRTや、わかさクリニックグループなどの日系医療機関と連携しつつ、トヨタ車体の海外関連会社PT. Sugity Creativesから医療MaaS車両の提供を受けて、インドネシアで現地高齢者に対するスマート在宅医療の実証実験を行う。

 

利用する医療MaaS車両は、日本の経済産業省「令和6年度ヘルスケア産業国際展開推進事業」(執行団体:一般社団法人Medical Excellence JAPAN)の採択を受けて、ネット通信を車載した移動診療車両を調達。同採択に伴いプロジェクト進捗に於いては、東京大学大学院医学系研究科老年病学の小川純人教授の監修を受ける建て付けだ。

 

プロジェクト実施に至った発端は、ASEAN諸国が人口増加に伴う人口ボーナス期(2023年4.7%、2024年5.0%の経済成長予測が算出されている)を迎えるなか、今後は、次第に高齢者数の増加が将来の懸念材料として浮上始めていることがある。

 

しかしASEAN各国は、未だ成長期の途上にあるため、医療インフラは十分に整っていない。なかでもインドネシアは1万人あたりの医師数が4.7人とASEAN諸国のなかでも極めて低い。

 

そこでメドリングは、当地で2024年5月から衛星通信サービス「スターリンク」が始動したことを好機とし、通常の診療所に近しい医療サービスを自宅などで実施可能な医療MaaSを活した「スマート在宅医療」の展開を決めた。

 

さて今回は、スターリンクを活用する医療MaaS車両に看護師などの医療従事者が搭乗。医師は原則として遠隔地から指導・診断を行う。在宅医療施設は、当地の日系医療機関、または現地の医療機関をオーナーとして募集。メドリングがその下で医療MaaS等の運営を担う。

 

もともとメドリングは、データに基づく適切な医療をASEANで広げるべく、現地クリニックの運営や、ASEANクリニック向けクラウド電子カルテ「MEDi」をベトナム・インドネシアに於いて提供しており、この「MEDi」によって在宅医療オペレーションの管理を支援する。

 

対して医療MaaS運用で豊富な実証経験を持つMRTとわかさクリニックグループは、医療MaaS運用に従事する医師や看護師等の採用と、他の日系在宅医療クリニックを当該事業へ呼び込むことを介してサポートする構えだ。

 

具体的な運用計画では、現地医療機関との実証実験準備を2024年8月より開始。これを2025年初頭までに纏め上げ、2025年中に1施設目の開業が漕ぎ着けたい考えだ。また最終的には、参画4社がMRTグループを介して、ASEANに於ける医療プラットフォームを盤石なものとしてASEAN No.1の医療DX・医療人材プラットフォームの構築を目指す。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。