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2024年7月17日【イベント】

日本気象協会ら、「標語提案」で車内置き去りの注意喚起促す

坂上 賢治

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車内に子供を残した人54.9%へ、注意喚起を促す「りすきー」提案

 

一般財団法人 日本気象協会(1950年創設)は7月17日、「熱中症ゼロ(日本気象協会の登録商標)・プロジェクト」を一般社団法人 日本自動車連盟( JAF )協力の下、車内置き去りによる熱中症事故の防止を目的に「熱中症、こんな人は特に注意!家族やペットを車に乗せる人」編を公開。更にJAFと共に車内置き去りの注意喚起を促す標語「りすきー」も提案した。

 

なお上記の「熱中症ゼロへ」プロジェクトとは、熱中症にかかる方を減らし、亡くなってしまう方をゼロにすることを目指して、日本気象協会が推進するプロジェクト。

 

2013年夏のプロジェクト発足以来、熱中症の発生に大きな影響を与える気象情報の発信を核に、熱中症に関する正しい知識と対策をより多くの方に知って貰う活動を展開してきた。

 

活動12年目となる2024年は「地球沸騰化時代の熱中症対策」をテーマに、熱中症の予防啓発活動をより強力に実践。気象災害のひとつである熱中症への防災意識を高め、暑さに備えるための情報発信を強化する。

 

そうしたなかで今回提案する車内置き去りを防ぐ注意喚起標語の「りすきー」とは、熱中症から命を守るべく、「車内の熱より保護者の温もり」を提案するもの。その意味するところは以下の通り。

 

——————————————–

 

「り」 理由を問わず、残さない
子どもが寝ているから、ぐずるから、エアコンを直前までつけていたからなどは通用しない。

 

「す」 少しの時間でも、残さない
買い物や保育園、病院等への送迎シーンなど短時間でも危険。

 

「き」 季節や天候を問わず、残さない
曇りの日や直射日光が当たらない場所でも油断しない。また盛夏だけでなく春や秋も注意する。

 

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車内への置き去りによる熱中症で、痛ましい事故が時折ニュース等で今日も報道されている。そこで日本気象協会とJAFは、天候や気温に関わらず、子ども、高齢者、ペットを車内に置き去りにする危険を注意喚起。標語を通じて具体的なシーンを認識し覚えて貰うことで、車で外出する際の行動を見直す「きっかけ」や「気づき」に繋がることに期待を込めている。

 

より具体的には、外気温が高い日だけでなく外気温がそれほど高くない日でも、直射日光の当たる場所に駐車すると車内温度が上昇する場合がある。

 

JAFのユーザーテストによれば、気温34℃の屋外に駐車した送迎用バス、ミニバンともわずか1時間後には車内温度が40℃を超えた。また暑さ指数(WBGT)は20分後には「厳重警戒(28以上31未満)」ランク、40分後には「危険(31以上)」ランクまで達し、暑さ指数(WBGT)は最高41.4を記録する。どんな場面であっても、体が小さく熱の影響を受けやすい子どもや、体温調節機能が低下している高齢者、またペットも車内に残して車から離れてはいけない。

 

JAFユーザーテスト「真夏の車内温度~車両の大きさによって差はあるのか~」https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/temperature/comparison

 

しかしJAFが実施した2022年12月~2023年1月の調査では、「時間の長さに関わらず、少しの時間であっても子どもを車内に残したまま車を離れたことがありますか?」という問いに対し、同居に関わらず家族に12歳以下の子どものいる方246名のうち、54.9%が「ある」と回答している実態がある。

 

JAF「子どもの車内事故に関するアンケート調査」
https://jaf.or.jp/common/news/2023/20230428-002

 

そこで当該プロジェクト公式サイトのページでは、車内置き去りを防ぐアクションも一部提案。これから夏休みやお盆期間など車移動の機会が増えるタイミングでもあり、行動の見直しと共に、万が一を起こさないためのアクションを呼び掛けている。

 

なお車内温度が高い時の効率的な下げ方など、車移動に於いて熱中症予防となる情報を、公式サイトやX(旧Twitter)の公式アカウント( @netsuzero2013 )で公開している。

 

熱中症ゼロへ 熱中症、こんな人は特に注意!家族やペットを車に乗せる人
https://www.netsuzero.jp/learning/le21

 

熱中症ゼロへ 熱中症、こんな人は特に注意!車に乗る人
https://www.netsuzero.jp/learning/le16

 

 

最後に、帝京大学医学部教授の三宅康史氏は、「体が小さく暑さの影響を受けやすい子供や、体温の調節機能が落ちて暑さを自覚しにくくなる高齢者は、通常時でも熱中症に特に注意が必要なため、暑い環境に置き去りにすることは絶対にやめましょう。

 

また、熱中症の症状は保育園や学校についた後、帰宅後など、時間が経って発生する場合もあります。〝一時的に離れるだけ〟〝すぐ戻るから大丈夫〟などの油断や思い込みは大変危険です。

 

運転者や車に乗せる側の保護者・指導者は責任をもって車に置き去りにしない、またヒューマンエラーを防ぐために行動や設備を見直しましょう。

 

また車に乗る人だけではなく、社会的な見守りという点では、例えば買い物や病院などで子どもを連れていても、周囲が優しい目で見守ることも必要かつ重要です( 熱中症、こんな人は特に注意!家族やペットを車に乗せる人より抜粋 )」と注意喚起を促している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。