NEXT MOBILITY

MENU

2022年1月20日【経済・社会】

日本トレンドリサーチ、「運転免許返納」での調査発表

NEXT MOBILITY編集部

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

 

日本トレンドリサーチは1月20日、「運転免許の返納」に関するアンケートの結果を公開した。

 

2022年の5月から高齢者ドライバーの免許更新時に運転技能検査(実車試験)が開始する。免許の更新を希望する75歳以上の高齢者ドライバーで、起点日(免許有効期限直近の誕生日から160日前)から過去3年間で信号無視や速度違反などの違反歴がある場合、受検しなくてはならない。

 

また、認知機能検査や指導員による高齢者講習の受講などが必要になるほか、「安全運転サポートカー(サポカー)」の限定免許制度も始まる。

 

今回、日本トレンドリサーチは全国の男女計2,700名を対象に「運転免許の返納」についてアンケートを実施した。

 

 

■「運転免許の返納に関するアンケート」調査概要
<調査手法>
インターネットでのアンケート
<調査対象者>
男女
<調査期間>
2021年12月30日~2022年01月13日
<質問内容>
質問1:普通自動車運転免許を持っていますか?
質問2:免許の返納義務化についてどう思いますか?
質問3:回答の理由を教えてください。
質問4:免許返納が義務化となった場合、返納する年齢は何歳がよいと思いますか?
質問5:回答の理由を教えてください。
質問6:日常的に運転はしますか?
質問7:何歳になったら免許を返納しようと思いますか?
質問8:何歳で免許を返納しましたか?
質問9:回答の理由を教えてください。
<集計対象人数>
2,700名

 

 

■免許の返納義務化 賛成派が多数
初めに、普通自動車運転免許を持っているか質問した。

 

 

 

 

84.2%の人が普通自動車運転免許を持っていて、すでに返納した方は4.7%であった。

 

次に「免許の返納義務化」について質問した。

 

 

 

 

今回のアンケートでは賛成派が76.1%、反対派が23.9%という結果になった。

 

 

<「賛成」回答理由>
・お年寄りドライバーよる逆走や、重大死亡事故が後を絶たないから。(40代・男性)
・高齢者の事故が頻発しているし、実際年を取ると反応が鈍くなるのも事実なので、早めの返納が好ましいと思う。(60代・女性)
・義務化しないと、判断力が鈍った高齢者が運転し続けることになるから。(20代・男性)

 

<「どちらかというと賛成」回答理由>
・高齢者の違反事故があまりにも多い。しかし土地によっては免許証と自動車が生活必需品であり一概に返納では済まされない事情もある。(70代・男性)
・運転免許について、事故を起こすリスクがなくなる。返納することで免許更新をする必要もなくなるし、気持ちの踏ん切りがつくと思うから。(30代・男性)
・どうしても自分を含め高齢者は反応が悪くなると思うので。ただ交通機関などの関係から返納が出来ないケースもあると思うので、そちらの対策が優先すると思います。(60代・男性)

 

<「どちらかというと反対」回答理由>
・運転の適不適は個人差が大きい。義務化の方法にもよるが年齢などで一律に返納させるという方法はとらないで欲しい。(60代・男性)
・地方の田舎に住んでいて交通手段が無かったり、少ない人々がいますので交通手段を確保してから義務化して欲しいと思います。(50代・男性)
・技能は人それぞれで線引きするのが難しいから。更新期間をもっと短くしまた適性検査、技能試験を頻繁にするなど何らかの処置は必要だと思う。(60代・女性)

 

<「反対」回答理由>
・公共交通機関の発達していない地域もあるのに、返納を強制するのはよくないから。(30代・男性)
・全国一律と言う事は、おかしいと思います。地域によって交通量も違うし危険度も違うため、返納してしまうと生活に支障が出て困る人がいると思います。(40代・女性)
・高齢者を一括りにしてほしくない。それよりも1年に1回程度の運転技能検査を義務化すればよい。(60代・男性)

 

「住む地域によっては車が必須」「運転技能には個人差ある」など「返納義務対象を年齢で決めるべきではない」という意見が多く見られた。

 

 

■免許返納の義務化 適正年齢は「81歳以上だと思う」が40.9%
免許返納が義務化となった場合、返納する年齢は何歳が妥当と思うか質問した。

 

 

 

 

「60歳までに返納した方が良い」と回答した人は1.0%で、選択肢の年齢が上がるとともに回答数が増えていき「81歳以上」が40.9%と最も多い回答になった。

 

 

■運転免許所有者の22.3% 「返納するつもりはない」
普通自動車運転免許を持っている人に日常的に運転をするか質問した。

 

 

 

 

今回のアンケートでは、運転免許所有者のおよそ4人に3人が日常的に運転しているという結果になった。

 

続いて、何歳になったら免許を返納するか質問した。

 

 

 

 

22.3%の人が「返納するつもりはない」と回答。「60歳以下の年齢で返納を考えている」人は1.1%で、最も多かった回答は24.3%で「81歳以上」となった。

 

 

<「60歳以下」回答理由>
・歳をとったら絶対に判断力や反射神経は劣るので大なり小なり事故を起こしそうだし、歳をとってあまり運転したくないから。(30代・女性)
・普段から運転していないので、免許証に代わるものがあれば返してもいいと思うから。(30代・女性)

 

<「61~65歳」回答理由>
・今はまだそこまで考えていないのが実際のところですが、自分の運転技術を考えると早いほうが良いような気がする。(30代・女性)
・自分を過信して事故を起こしたくないため。(20代・男性)

 

<「66~70歳」回答理由>
・65歳まで働くつもりだから(20代・男性)
・交通の便がいいところに住んでいるので、あまり必要性を感じないので、70になったら返納するつもりです。(60代・女性)

 

<「71~75歳」回答理由>
・70歳までは働きたいが免許が無いと仕事の幅が狭くなるから。(30代・女性)
・70歳以降になると反射神経が悪くなってくると思うので事故をして迷惑をかける前に返納したい。(50代・男性)

 

<「76~80歳」回答理由>
・車の安全運転サポートにもよりますが80代では遅いと思います。運転中の突然死やブレーキの踏み間違えなど70代後半の危険性が高いと思います。(60代・男性)
・自分の身体能力がやや衰えていると感じており、今後自動運転の車ができれば答えは変わりますが、やはり事故を起こす確率が年々高くなると思うからです。(60代・男性)

 

<「81歳以上」回答理由>
・80歳を越してくると足腰も弱ってくるし、認知機能も低下してくると思うので、このくらいの年齢で免許返納が妥当ではないかと思う。(50代・男性)
・もちろん80歳前でも運転できなくなる可能性もあるが、田舎暮らしかつ一人暮らしだから自分で動けるうちは自分で動きたいから。(70代・女性)

 

<「返納するつもりはない」回答理由>
・クルマがないと生活に困る。年齢ではなくて、認知症とか運転技能の衰えを基準に返納するルールにすべき。(80代・男性)
・私の場合、若い時から毎日運転しており、80歳になる現在も運動能力には問題がなく、まだ運転には自信がある。一律に年齢で返納を義務化するのは適切ではない。(80代・男性)

 

免許を返納する年齢は「仕事をいつまで続けるか次第」という意見が多く見られた。

 

 

■免許返納済の方の27.6% 60歳以下で返納
免許を返納したという127名に何歳で返納したか質問した。

 

 

 

 

今回のアンケートでは「81歳以上」で返納した人が4.7%と少なく、80歳までに返納している人が多数派となった。

 

 

<「60歳以下で返納した」回答理由>
・40歳で返納した。腰と首のヘルニア、変形性股関節症が悪化したため。二種、大型、大特、牽引など車両系はすべてもっていたが、いさぎよく返納した。(40代・男性)
・車を持っておらず、仕事以外で運転をしないので。(60歳で定年退職をした。)(60代・男性)
・自分は還暦を機に軽い脳梗塞を患い、手足の問題は全くなかったが、先生からのアドバイスがあり自分で判断した。(60代・男性)
・免許を取ってから3回くらいしか運転しておらず、運転の仕方も忘れ、この先運転することはないと思ったから。(50代・女性)

 

<「61歳~65歳で返納した」回答理由>
・車の維持費を節約したいので。(60代・男性)
・マイカーを持っておらず、今後自動車を購入する予定も無かったため。(70代・男性)
・神戸市から北海道に引っ越した。雪道が苦手だったため。(70代・男性)

 

<「66歳~70歳で返納した」回答理由>
・自分は運動神経が鈍いという判断と、都市圏の利便性のよいところに暮らしているため、さほど車がなくても大丈夫と判断した。(70代・男性)
・運転の機会が殆ど無くなったことと、交通機関が発達しているので返納しました。(70代・女性)
・過去にも不注意から何度か危ない経験をしているので早く返上した方がいいと考えた。(60代・男性)

 

<「71歳~75歳で返納した」回答理由>
・雲天に対する反射神経、運転技能は問題ないが、緑内障の進行に伴い、事故を起こしてからでは遅いので返納した。(70代・男性)
・子供達が他人様に被害を及ぼすのを避けるために返納させた。(80代・男性)
・定年になり運転をする機会が少なくなったから。(70代・男性)

 

<「76歳~80歳で返納した」回答理由>
・最近高齢者の事故の報道をニュースで見る事が多くなったように感じるから。(70代・男性)
・家族にも勧められて。(80代・男性)
・運転に自信が持てなくなったので。(80代・男性)

 

<「81歳以上で返納した」回答理由>
・運転には自信が有ったが92歳の免許証更新の際、老化により足腰不自由な為教習所に行けなかったら。(90代・男性)
・実のところまだ運転したかったが、更新では3回も講習や検定試験が嫌になったから。(80代・男性)

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。