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2024年6月11日【イベント】

日本自動車会議所、内山田竹志会長の再任が決まる

松下次男

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通常総会後に開かれた懇親会は、昨年に続き多数の参加者が列席した

 

日本自動車会議所は6月11日、東京・大手町の経団連会館で通常総会後の懇親会を開催した。冒頭、再任された内山田竹志会長が挨拶し、直前に相次いだ自動車メーカー各社の型式指定申請における不正の再発防止などを呼びかけるとともに、自動車関連産業の一層の発展を訴えた。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

4年ぶりに再開した昨年に続き、今年も懇親会が通常方式で開かれ、内山田会長は会員団体・企業の交流拡大のほか、自動車関係諸税の負担軽減への取り組み、カーボンニュートラル実現に向けた活動強化などをアピール。型式指定における不正問題については「自動車産業の信頼を揺るがしかねない大きな問題だ。一致団結してこの問題に対処していきたい」と述べた。

 

総会後の懇親会には、齋藤健経済産業相、斉藤鉄夫国土交通相、松本剛明総務相、盛山正仁文部科学相などのほか、国会議員も多数参加。その来賓挨拶では、下請法違反や型式指定申請における不正行為の再発防止の呼びかけとともに、日本の基幹産業としての自動車産業のさらなる発展を期待する声が寄せられた。

 

 

自動車産業をめぐっては、日産自動車に対する公正取引委員会の下請法違反勧告や新たにトヨタ自動車、ホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハ発動機の自動車メーカー5社の型式指定申請における不正事案の発覚がこのところ相次いだ。このため、各大臣の来賓挨拶でもこうした事案に一言触れ、再発防止に言及するとともに、新たな発展を期待する声を寄せていた。

 

齋藤経産相は、まず自動車産業が今年の春闘で賃上げの先導役を果たしことに感謝し、「成長軌道への好循環を感じている」と述べたうえで、これを中小企業へとつなげることの重要性を求めた。

 

加えて、自動車産業を取り巻く世界環境は「想定以上のスピードで変化」していると述べ、わが国の基幹産業かつ最重要産業である自動車産業がこうした潮流を勝ち抜くためにも政府がサポートしていく考えを表明。

 

具体的には、日本経済全体の大きな投資の柱となっているGX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じ、「GXではEV(電気自動車)やプラグインハイブリッド車(PHV)、ハイブリッド車(HV)などの電動化、水素、合成燃料などの多様な選択肢を自動車政策」として推進。

 

DXでは、モビリティDX戦略を策定し、「SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の普及や自動運転の社会実装、官民連携した研究開発を進めていく」などと挨拶した。

 

斉藤国交相は型式指定の所管官庁であることから、今回の不正発覚にあわせ「問題を根本から防止する対策にしっかりと取り組んでいく」と述べた。

 

また、2050年カーボンニュートラル実現に向け、電動車導入に対する支援策の大幅拡充や自動運転移動サービスの補助事業の推進するほか、地域交通における担い手不足や移動の足対策として日本版ライドシェアの拡充に取り組むと表明。

 

さらにバス・トラックやタクシーのドライバー担い手不足解消策支援や物流のいわゆる2024年問題に対し多層下請構造の是正法案を今国会で成立したと説明した。

 

加えて、自動車の安全や環境に係る基準の国際調和および認証の相互承認を推進している自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で国交省の技術官僚がアジア初の副議長に就任していることを踏まえ、「日本の技術が世界標準に扱われるよう頑張りたい」と挨拶した。

 

引き続き懇親会では、通常総会・理事会で再任が承認された内山田会長のほか、日本自動車工業会の片山正則会長、日本自動車販売協会連合会の加藤敏彦会長、日本自動車部品工業会の茅本隆司会長らの新副会長、島﨑豊新専務理事などが紹介された。

 

日本自動車会議所は、幅広く自動車関連事業の課題解決や自動車税制、交通安全などの事業に取り組むとともに、経団連モビリティ委員会や自民党自動車議連などとの連携活動を展開している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。