NEXT MOBILITY

MENU

2024年6月22日【SDGs】

自動車製造9社、廃材で創作したSDGsコレクションを披露

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

JAID( ジャイド / Japan Automotive Interior Designers )は6月22日( 土曜日 )、エアバッグやシート製品の廃材を活用した「SDGsファッションショー」を、ワールド( WORLD CO., LTD. )の北青山ビル( 東京都港区北青山 )で開催した。

 

ちなみに同ショーは、JAIDによるコンセプトイベント〝クリエイターズミートアップパーティー2024 / HŌRUMON NIGHT〟の一環として行われたもの。

 

JAIDは〝企業の垣根を超えて、国内モビリティのインテリアについてオープンな立場で語り合うべく〟国内の主要自動車メーカーを中核とした9社( 今参加企業は 以下の7社:ダイハツ工業 / 本田技術研究所 / いすゞ自動車 / 日産自動車 / トヨタ自動車 / トヨタ車体 / トヨタ紡織 )のインテリアデザイナーとCMF( 色 / Color、素材 / Material、加工 / Finishなどの商品 )デザイナー達の有志によって2015年に立ち上げられたクリエイティブ集団だ。

 

 

対してワールドは、兵庫県神戸市中央区のポートアイランドに本社を置く、今年創設64年目を迎える総合アパレルメーカー大手( 東京証券取引所プライム市場上場 )。

 

〝アンタイトル〟〝タケオキクチ〟などの他、セレクトショップの〝オペーク ドットクリップ〟〝ラグタグ〟など、カジュアルからフォーマルに至る多くのブランドを抱えている。

 

今回JAIDとワールドが、先のクリエイターズミートアップパーティーの開催コンセプトに掲げた〝HŌRUMON NIGHT〟とは、人と関わる自動車・服・食品など様々な製品から派生する〝ホルモン = 放るもん( 廃材 )〟に光を当て、生まれ変わった〝ホルモン〟によって、人と人を繋ぎ( TSUNAGI )逢うべく企画された催しとなる。

 

 

そんなオープニングセッションとして設定された「 SDGsファッションショー 」は、先の開催コンセプトを象徴する〝TSUNAGI〟をキーワードとした参加各社のSDGsコレクションを披露するというもの。

 

より具体的には、自動車の生産や廃車時に出てしまうエアバッグやシートなどの端材を服に仕立てたり、ワールドグループのユーズドセレクトショップ〝ラグタグ〟の倉庫からピックアップし、それらを衣服としてアップサイクルで仕立てたりなど、其れ其れのテクスチャーの特性を活かした作品に仕上げられた。

 

イベントを実施した趣旨は、自由な作品づくりを通して自動車の内装デザインやCMFデザインの魅力を伝えたいのが目的のひとつだという。ワールド北青山ビル1階をランウェイに見立てて登壇したのは、プロモデルの他、文化学園大学の学生、更にはJAIDのメンバーも参加して、ハレの舞台を愉しんだ。

 

実際の制作過程では、ワールドでソフト開発とコンセプト立案を担うクリエイティブ・マネジメント・センターのアドバイスを交えることにより、最先端のファッション性も取り入れながら、参加した各自動車メーカーが、既成概念に捉われない想像力溢れるアイデアを起点に独創的な衣装を披露するものとなった。

 

参加作品のプロフィールは以下の通り

 

トヨタ紡織:【カケラノダウン/カフツナグフク】
工場のごみ箱からランウェイヘ。「自動車のシート生産時に廃棄されていた素材」に着目し、裁断端材の欠片を詰め込んだ「カケラノダウン」と自動車シートカバーを繋いでできた「カフツナグフク」を提案した。

 

 

 

ダイハツ工業:【PVC Reincoat】
テーマは「サンプリング」。使わなくなったアナログレコードを粉砕し、PVCとして再生。野外音楽フェスで使うレインコートとしてアップサイクルした。音に由来する素材を着て、音に包まれる快感を表現するなど新提案を披露した。

 

 

 

トヨタ車体:【KIMOCHI BOOSTER】
着ている人の感情を反映し、色と体格が変わるウェアKIMOCHI BOOSTER。自動車部品の工場から出る端材と、最先端テクノロジーを組み合わせ、未来の様々なシーンに応じて着ている人の感情を反映して色とフォルムが変化し、人を感情から守ってくれるウェアの存在を提案した。

 

 

 

SAAYA/EXTRABOLD:【SAAYA 2024コレクション】
3Dプリンターの製造販売を手がけるエクストラボールドによる今年のSAAYA2024コレクションのテーマはグリッチ現象。デジタル領域で起こるバグや破綻を、3Dプリンティング( 3D printing )技術によって、ファッションの領域で再構築。グリッチによって物理崩壊した珍奇な世界観を提案した。

 

 

 

トヨタ自動車:【TOYOTA カルテット】
トヨタ自動車は、クルマの製造過程で捨てられる樹脂と木材の端材や皮の部分を使って楽器を作った。捨てられる筈の衣服を纏った4人のカルテットを介して異素材のコンピネーションの軽妙さを提案した。

 

 

 

いすゞ自動車/本田技術研究所:【親子ツナギ】
安心・安全のイメージのいすゞ、走りのイメージのホンダがコラボし、未来を創る子供達へ「乗り物」の楽しさを提案する〝親子ツナギ〟やユーズドセレクションショップのラグタグの古着や自動車廃材などを使って可愛いらしく、格好良く表現した。

 

 

 

日産自動車:【セレブトン】
「今夜パーティーに誘われているけど、メイクやオシャレに気を使うのが最高に面倒」と布団から出られないズボラ女子に贈る〝最高に怠慢〟で〝最高に優雅〟なセレブツナギ。廃棄される自動車のエアバッグやファブリックを表舞台で輝かせる趣向を提案した。

 

 

実施されたイベント関連情報は以下の通り

 

名称:クリエイターズ ミートアップ パーティー 2024「 HŌRUMON NIGHT 」
開催日時:2024年6月22日(土)オープン15:00/開催16:00~20:00

 

当日のタイムスケジュール
15:00:開場
16:00~17:00:1部/ファッションショー
17:00~18:00:フリータイム・会場移動
18:00~20:00:2部/ミートアップパーティー:プロセス展
20:00:閉場

 

場所:〒107-8526 東京都港区北青山3-5-10 ワールド北青山ビル
スポンサー:株式会社ExtraBold、株式会社三重設計、株式会社日南、株式会社乃村工藝社、株式会社トゥールズインターナショナル
協力企業
第一工業株式会社、株式会社マキタクラフト、有限会社デザインスタジオグレン、株式会社豊田自動織機、株式会社東海モデル、セーレン株式会社、豊田合成株式会社、株式会社クエストアンドトライ
協力クリエイター:采礼/制作協力 株式会社ExtraBold

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。