子どもやペットだけでなく大人も要注意。車内熱中症回避のために行動を
JAF(一般社団法人日本自動車連盟)は8月4日、昨年の8月1カ月間に出動した“子どもやペットを車内に残したままのキー閉じこみ”の件数を公表。車内熱中症事故予防を呼び掛けた。具体的には昨夏(8月)、子どもやペットを残したキー閉じこみは87件。うち3件はドアガラスを割って救援された。
より詳細には、2022年8月1日~8月31日の1カ月間、JAFが出動した「キー閉じこみ」の救援のうち、子どもやペットが車内に残されたままであったケースは全国で87件(子ども:51、ペット:36)あった。
このうち緊急性が高いと判断し、通常の開錠作業ではなくドアガラスを割るなどしたケースが3件。現場での聞き取り調査によると、その原因の中には「子どもに鍵を持たせていたら、ロックボタンを押してしまった」「ペット(犬)が誤って運転席ドアのロックボタンを踏んでしまった。」というものもあった。
暑さ指数(WBGT)の推移
JAFが実施した車内温度の検証テストによると、気温35℃の炎天下に駐車した車内の暑さ指数は、窓を閉め切った状態でエンジン停止後、わずか15分で人体にとって危険なレベルに達するとし、車を日陰に駐車していたとしてもその車内温度の差はわずか約7度で、駐車場所に関わらず外気温が高温である場合は注意が必要と綴っている。
なかでも乳幼児は体温調節機能が未発達であり、特に注意が必要。「少しの時間だから」「寝ているから」等の理由で車内に子どもを残したまま車を離れることは、「キー閉じこみ」のトラブルとならなくても、熱中症を引き起こす事故になりかねない。
また、2021年にJAF公式SNSアカウントで実施したキャンペーン「あなたの熱中症を教えて!」では「クルマで家族を迎えに行き待っているあいだ、エアコンを切っていたら熱中症になりかけた」という大人の車内熱中症に関するコメントもあった。
JAFでは、「車内熱中症というと子どもやペットの事故がよく報道されますが、大人であっても車内熱中症に陥る危険性は十分にあります。暑いと感じられる際は無理をせず熱中症回避のため行動しましょう」と話している。
参考:JAFユーザーテスト
▼車内温度/夏
実施日:2012年8月22日・23日
場所:彩湖・道満グリーンパーク駐車場(埼玉県戸田市)
天候:晴れ
気温:35度
テスト:午後12時から4時間、駐車条件の異なる車両(ミニバン)を5台用意し、炎天下における車内温度を測定。
資料編:https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/temperature/summer
動画編:https://www.youtube.com/watch?v=27Ej-ZUWvUU
車両条件(各車両の室温を25℃に揃え、3つのテストを実施した)
(1)対策無(黒)
(2)対策無(白)
(3)サンシェード装着
(4)窓開け(3cm)
(5)エアコン作動
▼「日なた」と「日陰」の車内温度(動画編)
https://www.youtube.com/watch?v=0KiUCm-1B6k
最高温度/平均温度/ダッシュボード最高温度
(1):57℃ /51℃ /79℃
(2):52℃ /47℃ /74℃
(3):50℃ /45℃ /52℃
(4):45℃ /42℃ /75℃
(5):27℃ /26℃ /61℃
炎天下における車内温度の測定結果
– エアコン停止からわずか15分で、熱中症指数が危険レベルに達した。
– 乳幼児は体温調節機能が未発達で、高温下では短時間で体温が上昇し、死に至ることがある。寝ているからという理由で、車内に子どもを残すのは大変危険である。
– また、高齢者も加齢にともない、体温調節機能が低下するため、同じように危険である。
最後にスマートフォンやライターなどの日用品をダッシュボードに置き、時間経過とともに状態変化を調べた。
ダッシュボードにものを置いた場合の結果
– ダッシュボードは車内の温度よりさらに高温になった。
– スマートフォンは高温に耐えられず、一時的に使用不能となった。
– スプレー缶やライターは、今回破裂したり、引火することはなかったが、可燃性の高い危険物を車内に置くことは避けるべきである。
– さらに、ハンドルも高温になりやすいため、車に乗車する際には、火傷などには注意が必要である。